第21話・コスモ・バビロニア建国戦争その1
コスモ・バビロニアの貴族主義とは血筋に準じた階級制度ではありません。
ニュータイプにノブレス・オブリージュを課して社会を発展させよう、ニュータイプをどんどん増やそう、という考え方です。
そしてロナ(ブッホ)家はニュータイプ一家でした。
さて問題。
なぜ序盤で兄ドレルを見たセシリーは不思議そうな顔をして回想シーンが入ったのでしょう?
回想シーンを見ればわかると思いますが、兄ドレルはオールドタイプだったからです。
特にセシリーは母ナディアから貰ったサイコフレームの耳飾りを着けているので、相手がニュータイプかどうかは一目瞭然です。
ベルガ・ダラスに搭乗しているドレルは影武者でした。
本物のドレルは根っからのオールドタイプだったようです。
彼の存在はロナ家の貴族主義に真っ向から反し、何が何でもニュータイプにする必要がありました。
各地の研究施設であらゆる強化措置を施されたのに結局
地球圏には現物が残っていなかったので、ドレルは木星圏に送られたと思われます。
片道4年なので、木星圏との往来は最低8年かかります。
出立の際にマイッツァーが用意したニュータイプの影武者は、それはそれは立派な美丈夫へと成長しました。
一方、本物のドレルは父親似だったのか、スクスクスクスクと背が伸びてカロッゾと並ぶ長身になってしまったのです。
どうやらシロッコのバイオセンサーは現存しなかったのか、それとも役立たずだったのか、ドレルは意気消沈してブッホ・コロニーへと帰還したのでしょう。
しかし彼の前には、亡きカロッゾが
ブッホ・コンツェルンは、技術提供と引き換えに、木星船団公社の工作員に乗っ取られていました。
ナディア・ロナはバイオコンピュータの設計図と開発データをサナリィに送り、シオ・フェアチャイルドの手引きでとベラと共に逃亡。
この時、カロッゾはすでに他界していたようです。
コスモ・バビロニアの小型モビルスーツ開発は、木星圏の技術を使った結果でした。
サナリィがジュドーの持ち帰った木星圏の技術で小型モビルスーツ開発を行ったのと同じです。
元になる技術が一緒だったから、同じようなモビルスーツが完成したのです。
そしてビギナ・ギナにも、密かにサナリィ製のバイオコンピュータが搭載されていました。
バイオコンピュータとは、オールドタイプが使っても裏で機械が疑似ニュータイプを演じて二人羽織する、人間と機械を結ぶコミュニケーション・マシンです。
これさえあれば誰でもニュータイプ気分が味わえる、そんな夢の機械でした。
それは本物のカロッゾが、オールドタイプだった本物のドレルにプレゼントしようと開発したシステムだったのです。
ただしこのバイオコンピュータは、オールドタイプを疑似ニュータイプにするだけの装置ではありませんでした。
副作用として、本物の覚醒したニュータイプが使用すると、分身する化物になるのです。
カロッゾが他界したせいで、コスモ・バビロニアはバイオコンピュータを製造できず、鉄仮面が持っていた一点のみ。
研究データはナディアが奪い去ってしまったからです。
一方サナリィは、カロッゾのあまりにも天然ニュータイプな研究データに四苦八苦、同じく天然ニュータイプだったモニカ・アノーの手でどうにかバイオコンピュータを完成させ、F91とビギナ・ギナに搭載しています。
鉄仮面とF91は、同じ技術を使って作られた双子でした。
覚醒したニュータイプが本気を出すとバイオコンピュータが全力稼働、排熱問題でマスクが開き鉄仮面顔が現れます。
おそらくビギナ・ギナも、セシリーが覚醒すればマスクが開いて鉄仮面顔が現れたに違いありません。
しかしコスモ・バビロニアの人間はセシリーやザビーネを含めても未覚醒ニュータイプばかりで、誰一人として覚醒しませんでした。
覚醒したのは亡きカロッゾと、ブッホ・コンツェルンのスパイだったトビア・アロナクスくらいでしょうか?
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