第10話・一年戦争その4

 二手三手先を考えるシャアは、すでにザビ家への復讐に向けた陰謀を巡らせていました。


 シャリア・ブルと謁見したギレンは右から左にキシリア様の元へスパイとして送り込み、すかさずシャアは非サイコミュ機ブラウ・ブロに乗せてアムロに抹殺させています。

 送り込んだスパイを瞬時に抹殺されたギレンがキシリアを疑わないはずがありません。

 そこにデギン公王が戦争の中断を考え始めたので、ギレンは疑心暗鬼に陥りました。

 シャリア・ブルを死なせてしまったキシリア様も同様です。


 そしてシャアは、最終手段としてソーラ・レイを準備させていました。



 ソロモン攻略戦に勝利させられた・・・・・・・ワッケイン司令は面子をつぶされてカンカン。

 そこにシャアが『ホワイトベースを沈めてやるからテキサスゾーンに来い』と言われてホイホイ行ってバロムのチベを『邪魔だ!』と撃沈、マ・クベ隊とにらみ合いをしていたホワイトベースを助けてしまいました。

 そしてアムロと共同でマ・クベを抹殺したシャアに、すれ違いざまに抹殺されてしまったのです。


 しかしマ・クベは-V-作戦の秘密を北宋の壺に隠し、キシリア様の元へ送っていました。

 どうやら届いてしまったようです。



 一方、ガタが来たガンダムにマグネット・コーティングをしてもらうアムロですが、モスク・ハン博士はワッケイン司令が連れて来たシャアの部下でルナツーの技術将校です。

 マグネット・コーティングは、赤ザクを三倍速くするシャアの秘匿技術だったのです。



 ララァがエルメスでソロモンに来たのは、サイコミュを使った洗脳波でレビル将軍とその一派を洗脳し、デギン公王に停戦条約の締結を打診させる事でした。

 ついでにシャアとその部下たちも洗脳し、キシリア様と和解させています。

 テキサスコロニーでザビ家抹殺を直接聞き出したセイラさんの意を汲んだララァが『みんな仲良くしましょう』と敵味方問わず洗脳し始めたのです。

 なんて脳味噌お花畑なポンコツ計画!



 ララァの洗脳ですっかりポンコツ化したシャアは、ララァの部下になると明言します。

 しかしララァはこの時、アムロとの戦闘で精神汚染を受けていました。

 アムロの師匠愛に感染し、シャアにキスをさせたのです。



 ララァの声が聞こえると言い出したアムロにブライトさんたちは仰天しました。

 敵を洗脳するための声が聞こえるアムロは敵です。

 しかも洗脳が効いてない!


 そこでミライさんは『じゃあララァに直接洗脳してもらいましょう』とアムロを出撃させ、ブライトさんは『なんて恐ろしい人だ……』と、ミライさんにれ直してしまいました。



 ララァと戦うアムロはビットのコントロールをニュータイプ能力で逆探知、コントロールをハッキングしますが罠でした。

 ララァはサイコミュを使ってアムロの精神と直結させたのです。


 ララァはアムロの認識を『守るべきもの=地球』にすり替える予定でしたが、アムロの師匠愛に汚染された彼女の優先順位は、シャアに置き換えられていました。

 ララァの中で精神汚染が広がる様子を見て、サイコミュとの精神リンクでモニターしていたミライさんとセイラさんが驚愕きょうがく


 それでもララァは何とか正気を保っていました。

 同時に気づいてしまったのです。

 アムロと2人がかりならシャアをニュータイプに覚醒できて、洗脳なんかしなくても万事解決だったと。

「あなたが来るのが遅すぎたのよ!」


 洗脳でポンコツ化したシャアがセイラさんを執拗しつように攻撃し、止めようとしたララァは事故って死んでしまいます。


 しかしララァは最期の力でアムロとシャアに『地球を守れ』と呪いをかけました。

 2人は13年も悪夢に悩まされる破目になったのです。


 呪いの効果で、セイラさんとミライさんとララァのポンコツ終戦工作を知ったアムロは「取り返しのつかない事をしてしまった……」と後悔しますが先に立たず。

 戦争はいよいよ収集がつかなくなって行ったのです。


 そうそう洗脳されたレビル将軍とデギン公王は、シャアの奸計にはまってソーラ・レイに焼かれました。



 戦場をア・バオア・クーへと移したホワイトベース隊ですが、連邦軍にはもうネームドの司令官がいません。

 こうなったらシャアに何とかしてもらうしかないと判断したブライトさんは、わざわざ激戦地での戦闘を選んでアムロとシャアを戦わせます。


 アムロは『シャアをニュータイプに覚醒させれば洗脳が解けるはず』と思ったようです。

 しかしニュータイプとして覚醒させるには、それなりのストレスが必要でした。

 いつも二手三手先を考えて余裕しゃくしゃくなシャアは、そう簡単には覚醒してくれそうにありません。


 しかもシャアはララァから『ザビ家復讐をあきらめる』だけでなく、戦闘中に出したサイコ指令『ガンダムを討て』が生きていました。

 あの時シャアは「私はガンダムを討ちたい」と言っていましたが、ララァの洗脳で誘導されていたようです。



 シャアの素顔を見て和解を了承したキシリア様ですが、信用はしてません。

 シャアの恐ろしさをよく知っていたからです。

 そこで未完成のジオングを渡して『これでガンダムと戦え』と命じたものの、まさか本当にジオングで出撃するとは思っていませんでした。

 大佐なんだから部隊の指揮しろよ!


 まんまとジオングに乗ってガンダムに追い詰められるシャアを見たキシリア様は「赤い彗星も地に落ちたものだな」とあきれ顔。

 ギレンを殺した直後でも冷静です。



 腐っても赤い彗星、ニュータイプとして覚醒したアムロでも窮地きゅうちに追い込むのは生半可な事ではありません。

 ジオングを破壊すれば頭部が飛び立ち、頭部を破壊しても中身が逃げ出す有様でキリがありません。

 ポンコツのくせに逃げ足が速い!


 細剣を取ってチャンバラの末、ヘルメットがかち合った瞬間ララァの呪いが共鳴、すかさずアムロは「い……今、ララァが言った……ニュータイプはこ、殺しあう道具ではないって」と洗脳の重ね掛けを行います。

 そしてシャアはニュータイプに覚醒、どちらの洗脳も解けました。

 呪いは残ってます。


 洗脳が解けたシャアは「私の同志になれ。ララァも喜ぶ」とトンチキな寝言でアムロを怒らせます。

 大好きだった師匠に愛想を尽かしたアムロは、それがシャアの気遣いだと知りつつ立ち去りました。

 セイラさんと二人っきりで話をさせるためです。


 洗脳が解けた代わりに復讐心がよみがえったシャアは『やはりザビ家は許せぬ』とキシリア様の元へと向かいます。



 マ・クベの壺で-V-作戦の概要を知っていたキシリア様は、ここで逃げれば連邦とジオンの高官たちが何とかしてくれると信じ、ザンジバルで脱出をはかります。


 重傷を負ったトワニングに素顔を見せてキシリア様の居場所を聞き出したシャアは「ガルマ、私の手向たむけだ」とバズーカを発射。

 成形炸薬弾のメタルジェットで首を吹き飛ばされたキシリア様は死亡、なぜかザンジバルは轟沈。


 富野監督は、この時シャアを生死不明にしておきたかったようですが、Zガンダムで復活したのでサラリと逃げた事になりました。



 そうそう、フラウは最後まで何も知らずに終わりましたが、脱出時にアムロが「僕の好きなフラウ」とサイコ告白したので、Zでハヤトと結婚していたのは偽装だったようです。

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