第5話 第3クォーター

「さあ、ハーフタイムショーの興奮もさめやらない静かな海スタジアムから、『ハイパーボウル2049』後半戦もローンスターズの元QBクォーターバック強肩ストロングアームダンことダン・エイクマンさんとお届けします。


 エイクマンさん、引き続きよろしくお願いいたします」


「こちらこそ、よろしくお願いします」


「さて、BEイーグルスが強力なディフェンスラインとラン攻撃オフェンスを印象づけた前半戦。


 STタイタンズQBクォーターバックブレイザーの要所要所をおさえたパス攻撃オフェンスで同点に追いつきました。


 後半戦はどんなところに注目してらっしゃいますか?」


「そうですね。まず、BEイーグルスのノリにのっている防御ディフェンスをどうSTタイタンズ攻撃陣オフェンスが攻略するのかと、ゲーム前にも新旧世代交代とさわがれていましたが……リーグを代表する実績あるベテランと若手有望株、対照的な両QBクォーターバックのデキがどうなのか、というところですね」


「いまのところの両QBクォーターバックはどうでしょう?」


「ブレイザーがBEイーグルスのディフェンスラインに苦しんでいるように見受けられますが、QBクォーターバックのデキ自体はライアンと遜色そんしょくない、ほぼ互角ごかくの闘いをしていると思います」


「レギュラーシーズンで、ともに素晴らしい成績を残している両QBクォーターバックに引き続き注目しましょう。


 さて、後半戦はコイントスで後攻レシーブを選択したBEイーグルスからの攻撃。


 絶好調のRBランニングバックあしかしたラン攻撃が続きます、BEイーグルス


 おっと、ところがここは攻めきれませんでした、BEイーグルス


 攻撃権はSTタイタンズに移ります。


 ここまではボールを持って走るラン攻撃が効果的だったと思うのですが……」


「自分のチームのよいところを使うのはセオリー通りだと思いますが、ちょっと攻撃が単調過ぎたかもしれません。


 STタイタンズBEイーグルスのレギュラーシーズンの闘いを研究してきていますから、対策がここで効いてきたのかもしれませんよ。


 それに、STタイタンズ防御陣ディフェンスもレギュラーシーズン、決して悪い数字を残しているわけじゃありませんから。


 ここまでのBEイーグルス防御陣ディフェンスが予想以上というだけで」


「ただ、どうでしょう。また、ここでブレイザーがパス失敗インコンプリート


 レギュラーシーズンのゲームでは、ここまでパスが通らないブレイザーというのもちょっと記憶にないのですが……」


「先ほど、BEイーグルスのオフェンスは止めることができたSTタイタンズですが、ディフェンスラインにはまだやられてしまっています。


 そうなるとQBクォーターバックはどうしても、投げ急がなければならないシーンが増えてしまうんですね。


 この状況のなかで同点に追いついたところが、さすがブレイザーという見方もあると思います。


 あまりハードなQBクォーターバックへのタックルラッシュが続くと、戦意喪失しなえてしまうメンタルの弱いQBクォーターバックもいますからね。


 それでも闘志を失わないところは、さすが数々の修羅場しゅらばをくぐってきた百戦錬磨ひゃくせんれんまのブレイザーといえるかもしれません」


「そのブレーザーに、またしてもBEイーグルス防御陣ディフェンスおそいかかります。


 あ、でも、ブレーザーうまくかわして、投げた!


 が、あー、なんてことだ!


 インターセプト! インターセプトです!!


 ブレイザーともあろう者が、1試合で2度目のインターセプトです」


「『ハイパーボウル』には魔物がむという言葉がありますが、こういうプレイを見ていると、あながち間違いではないかな……と思ってしまいますね。


 ベテランといえども、なかなかいつも通りに思うようなプレイができない……」


「第2Qクォーターから同点のまま、どちらも追加点がのどから手が出るほどほしいタイミングだと思います。


 このインターセプトどう見ますか?」


「正直、頼みのブレイザーの2度目のインターセプトですからね。


 両チームの選手への影響は、はかり知れないものがあるでしょう。


 ただ、後半戦とはいえ、まだ時間はあります。


 まだ、あせる時間帯ではないと思いますよ。


 とにかく、STタイタンズBEイーグルスのディフェンスラインからブレイザーをどうまもって仕事をさせるかですね。


 BEイーグルスは、このままブレイザーにプレッシャーをかけ続けることができれば、『ハイパーボウル』トロフィに一歩近づくということになるでしょう」

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