三つの神器

 拠点である城へ戻り、ルサルカさんを誰に診てもらおうかと悩む。

 う~ん……そうだな。この場合は医者なのだろうけど、原因不明と診断されたくらいだ。きっと同じ答えが返ってくるだけだ。

 となると、ここは“大賢者”の力を借りるべきか。


 そう思っていると、ちょうどアルフレッドが現れた。


「探しましたよ、ラスティ様」

「すまんすまん。ちょっと外へ出掛けていた。変わりないか?」

「ええ、こちらは問題ありません。ところで、そちらのドワーフ族の少女は……?」

「この人はルサルカさん。ハヴァマールの知り合いなんだ」

「お客様でしたか。これはご無礼を」

「それより、エドゥは帰ってきているか?」

「エドゥ様はお部屋にいますよ」


 良かった。アイツはなにかと忙しいからな。いると分かればこっちのモノ。

 みんなを連れてエドゥの部屋へ向かった。


 廊下を歩き、一階にあるエドゥの部屋へ。


 扉をノックすると直ぐに反応があった。扉を開け、出て来てくれるエドゥ。



「ようこそいらっしゃいました、ラスティ様」

「よく俺だって分かったな」

「もちろん分かります。ところで、随分と大人数ですね」

「押しかけて済まない。頼みたいことがあるんだ」

「分かりました。どうぞ、お入りください」


 と、言いつつエドゥは俺の手を引っ張った。

 部屋の中は本で埋め尽くされている。さすが大賢者といったところか。


「さっそくだけど、まずはドワーフ族のルサルカさんを紹介する」

「あーしはルサルカ。よろしく……」


 挨拶を交わして早々にエドゥは、なにやら渋い顔をしていた。早くもなにかを察したらしい。


「……なるほど、ラスティ様。用件とはこのドワーフ族の方の病気についてですね」

「察しが早くて助かるよ」


 エドゥには心を読んだりする力があるようだ。だから、俺は今更驚かないが。


「えっ! 大賢者様……なんだ。凄い」


 ルサルカさんが驚いていた。


「そんなところです。では、さっそく手を拝借」


 淡々とした表情と動作でエドゥは、ルサルカの手を握る。

 少し怖いのかルサルカさんは小さく震えていた。……まあ、エドゥはほとんど感情を表に出さないからな。


 しばらくして白い光が二人の手に発現。


 ぽわぽわと不思議な発光を繰り返した。



「……わ、なにこれ」

「ルサルカさん、あなたの体を調べました」

「えっ……もう分かったの?」

「はい。あなたの寿命は……問題ありません」



「「「「え!?」」」」



 俺もスコルもハヴァマールも……そして、ルサルカさんも驚いた。マジかよ!



「ただし、これは一時的なもの。聖戦が影響しているようです」

「聖戦だって!? なんの関係があるんだよ、エドゥ」


 俺が問い詰めるとエドゥは、あることについて教えてくれた。


「神器ですよ、ラスティ様」

「じ、神器……ああ、三つの神器か。って、まて!」


 そうだ! よく思い出せ俺よ。

 そもそも『ルサルカ』って神器の名前じゃないか。

 そして、大陸の名前でもあることを俺は思い出した。

 というか……神器の名前って大陸と一緒だ。


 どういうことなんだ……?



「そういえば、大陸もそうですよね」



 俺が思っていたことをスコルが口にした。



「その通りです、スコル様。イズアール大陸、ルサルカ大陸、オラトリオ大陸とすべて大陸の名を冠しております。そして、その名を持つ者も」


「教えてくれ、エドゥ。ルサルカさんは聖戦のなんなんだ?」

「神器そのものですね」

「なに!? じゃあ、神器って“人”なのか」

「そういうことになります」



 な、なんだってぇ~!?

 そんなことがあるのかよ……!

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