シュネーヴァイス Lv.5

 シグチュールを構え、俺はニールセンに向き直った。


「ラスティ……。ここで決着をつけるか?」

「それもアリだな。お前を倒せば戦争は終わる。神聖王国ガブリエルも消えてなくなるわけだ」


「フハハ。私を倒すなど不可能だ」

「どうしてそう言い切れる?」

「やってみれば分かるさ。――それに世界聖書の解放も近い」


 コイツ……スコルを狙いに来たのか。

 そうでなければ、わざわざ姿を出さないよな。


 ならば全力で止めないと!


 俺は地面を蹴って一気に加速。ニールセンの背後を取った。



「くらえッ!」

「実に単純な攻撃だ。その程度でこの私を倒せると思ったか……!」



 黒い渦をまとうニールセンは、素早く回避して空へ飛んだ。野郎、また闇属性を。

 だけどな、こっちだって本気なんだ。


 無人島開発スキルを駆使して、俺はヤツの行動を止めた。



「落石とボウガンも大量発射!!」



 なにもない空から無数の落石が起きた。更に、地面にボウガンがいくつも設置され、ニールセンを自動で狙った。



『ガラガラガラガラ……!』

『ビュンビュンビュンビュンッ!!』



「こんな子供だましのスキルが通用するかッ!!」



 身をうねらせるニールセンは、闇を拡大させて俺のスキル攻撃を粉砕した。もちろん、通用するとは思っていない。


 ただ全力でニールセンの間合いに入りたかっただけだ。



「隙アリ!!」

「――く! 貴様、これを狙っていたのか」


「そうだ、お前の闇は厄介だからな。サンダーブレイク!!!」

「風属性攻撃か。ならば、こちらは闇だ。ダークストライク!!」



 闇の塊が俺のサンダーブレイクを飲み込む。……マジかよ! このままだと押し切られる。なら、こっちは更に!!


 シグチュール専用の必殺スキルを発動だ。



「シュネーヴァイス!!!」




 [シュネーヴァイス][Lv.5]

 [攻撃スキル]

 [効果]

  聖属性攻撃。

  白き女神の力を付与し、浄化の一撃を与える。このスキルは必中攻撃である。対象が闇属性の場合、十倍のダメージを追加で与える。


 Level.1 :聖属性攻撃 10000%、多段Hit+3。

 Level.2 :聖属性攻撃 20000%、多段Hit+6。

 Level.3 :聖属性攻撃 30000%、多段Hit+9。

 Level.4 :聖属性攻撃 40000%、多段Hit+12。

 Level.5 :聖属性攻撃 50000%、多段Hit+15。




 周辺が白くなるほどの大きな輝きがニールセンに向かっていく。黒い霧すら浄化していやがる。こんなスキルだったとは……!



「せ、聖属性攻撃だと……!」

「ニールセン、これで!!」



 この威力、速度。

 回避は不可能だ。


 一瞬で到達した俺の攻撃は、ニールセンを飲み込んだ。大爆発を起こして、しばらくは白い光に包まれた。


 ……なんて光だ。


 次第に戻ってくる視界。


 俺はニールセンの気配を追ったが、感じることはなかった。倒したのか?


 周囲を見渡すが、濃霧が晴れて見晴らしがいいくらいだ。



「ラスティさん、あそこ!!」



 スコルが叫んで指をさす。

 その方向は俺の背後だった。


 振り向くと、そこには黒い塊から再生をはじめるニールセンの姿があった。……コ、コイツ、バケモノか……!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る