無属性攻撃で超重戦士をぶっ倒せ
風属性魔法を放ったが、フェルナンデスは不敵に笑い斧で
凄まじい魔力を
ありえねえ!
「……この程度か、小僧」
「バカな! 俺のスキルを受けられるなんて……」
「この大戦斧・チェルノボグは魔法防御にも特化した斧。火、水、風、地属性攻撃の耐久力があるのだよ。残念だったな」
な、なんだって……。
驚いていると、スコルが叫んだ。
「ラスティさん、危ないです!!」
「……っ!!」
あのフェルナンデスが動き出し、猛接近してきた。
巨体を目の前にすると、とんでもない迫力だった。……巨人かよっ!
思いっきり斧を振り上げるフェルナンデス。
やべえ、このままだと殺られる。
「どうした小僧! その程度か!!」
「俺を舐めるなよ。無人島開発スキル……“鉄柵”……!」
「!?」
フェルナンデスが攻撃してくる前に、俺は鉄柵を生成して応戦。
鉄柵が現れ、縦に伸びていく。
「うおらああああッッ」
「ぐはあああああああッ!!」
ヤツのボディに命中して押し退けていく。
……よしッ。
「あ、兄貴ィ!! くそ、よくも!!」
オッフェンバックが短剣を持ち、突っ走ってくる。二刀短剣か……!
けど、ブレアが剣で短剣を弾いてくれた。
「助太刀する、ラスティ」
「助かるよ、ブレア。でも、スコルを守れる人が……いや、俺が守ればいいな。スコル! 俺から離れるなよ!」
「は、はいっ……ラスティさんの傍を離れません」
よし、良い顔だ。
俺もブレアも、スコルの支援スキル『キリエ』と『グローリア』を受けた。
能力補正は上がったものの、あのフェルナンデスの大戦斧をどうにかできるかと言えば……微妙だ。
「あの斧を突破するには、無属性攻撃……あるいは、光か闇属性攻撃でなければならないのか」
「ラスティ、私はあのオッフェンバックとかいう痩せ男を相手する」
「分かったよ、ブレア。だけど無茶はするなよ」
「これでも姫騎士だ。将軍……お父様からいろいろ教わった。きっと大丈夫だ」
駆けていくブレア。
海賊時代とは大違いだな。
すげぇ頼りになる。
「……さて」
「……クハハハ」
余裕の顔を浮かべるフェルナンデスは、ズシズシと地面を鳴らして向かってくる。大戦斧を振るい、強風で街を吹き飛ばす。
「お前……街を破壊しながら!」
「心地よい叫びだと思わんか」
「なに!?」
「民の絶望の声さ。人々は突然の災害に泣き、叫び、喚いている。苦痛は心地よい……破壊こそ、真の快楽にして愉悦よ」
「災害だと……お前が一方的に侵攻して起こした身勝手な衝動だろうがッ!」
悪魔の笑みを浮かべるフェルナンデスは、近くにいた老夫婦を惨殺した。……コイツ、殺しを楽しんでいやがる。
「やめろ」
「愚問だな。儂には、お前を殺す命令とは他に、ニールセン様の“天命”があるのだよ」
「天命だと?」
「このグラズノフ共和国を滅ぼせとな」
「……そうか、なら神聖王国ガブリエルを滅ぼしてやるよ!!」
恐らく、グングニルも防御される可能性がある。
ならば『ゲイルチュール』の物理攻撃で戦うしかない。
俺は改めて“つるはし”を生成。
更に“鉄鉱石”をアイテムボックスから取り出した。
これしかない!
「ほぉん? そんなオモチャでどうする気だ」
「こうするんだよ、肉だるま野郎が!!」
俺は、つるはしで鉄鉱石を叩いてバッティングした。前にもこの技は使ったが、今回は一味違う。
なぜなら『鉄鉱石』だからだ。
石の種類によっては、与えるダメージが変化するようだった。
超高速で飛翔していく鉄鉱石。
さすがのフェルナンデスも、これには驚いていた。
「ぐぅぅぅぅうう!?」
辛うじて大戦斧で防御。
だが、俺のバッティングが強力かつ遠距離物理の無属性攻撃だから予想外だったらしく、ヤツは斧で耐えながらも、踏ん張っていた。
それでも、ここまで防御されるのか。
「わたしも一緒に……」
「スコル! そうか、スコルは聖属性魔法が使えるんだったな」
「そうです。だから……ホーリークロス!!」
十字の煌めきが更にフェルナンデスを追い詰める。
「ぐあああああああああああああああああああああ!!!!」
だが、これでも倒れることはなかった。
なんてムチャクチャなヤツだ。
なら、無人島開発スキルの『大砲』を複数を緊急設置!
材料ギリギリだが、これでしかないッ。
俺は大砲を三門置いた。
「いけええええええ!!」
ドン、ドン、ドンと物凄い音を立てて砲弾がフェルナンデスに命中。
「く、くそおおおおおおおおおおおお……!!!!!」
今度こそヤツを吹き飛ばした。
……やった、のか!?
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