聖騎士の妹
「ストレルカね。貴女、よくまあ……表に顔を出せるわね」
貴族令嬢の中でも威圧感のあるリーダー的な女性がストレルカに猛接近。なんだ、あの豪華なドレス。腰まで伸びる金髪の髪もキラキラしてるな。
「はい? なんのことですか」
「貴女、ヨハネスお兄様を捨てたそうですね。そのせいで家を追い出されたとか」
捨てたっていうか、強制的なお見合いだ。ストレルカは望んでいなかった。……ん、ていうか、
「そうですけど、それが何か」
「やっぱりね。ヨハネスは、我が兄よ! よくもお兄様を酷い目に!」
いきなり手を挙げ、金髪の女はストレルカの頬を強く叩いた。空気が振動するような音が響き渡り、最上階内が静まる。おいおい、やりすぎた。つーか、俺の仲間に何してんだよ。
スコルが俺の袖を引っ張ってくる。
「ラスティさん、ストレルカさんが大変です!」
「任せろ」
腕を
これだから、帝国のヤツは!!
「この、この、この!! ストレルカ、お前を許さない!! その無駄に可愛い顔をズタズタにしてやるッ」
今度は、食事用のナイフを取り出して――ストレルカの顔を傷つけようとしていた。
「ラ、ラスティ様……わたくし」
ストレルカは、涙をポロポロ流して俺に助けを求めていた。ああ、今助ける! 俺は『無人島開発スキル』の落石を使った。
[落石][Lv.10]
[防衛スキル]
[効果]
敵の頭上に『石』あるいは『岩』を任意で1個~最大10個まで落とす。ダメージは、スキルレベルによって変化する。無人島開発スキルを習得している場合は任意発動も可能。この石あるいは岩は、破壊可能。
Level.1 :物理ダメージ 1000%
Level.2 :物理ダメージ 2000%
Level.3 :物理ダメージ 3000%
Level.4 :物理ダメージ 4000%
Level.5 :物理ダメージ 5000%
Level.6 :物理ダメージ 6000%
Level.7 :物理ダメージ 7000%
Level.8 :物理ダメージ 8000%
Level.9 :物理ダメージ 9000%
Level.10 :物理ダメージ 10000%
天上の何もないところから大きな石が複数個落下。あの女共の頭上に降らせた。拳ほどある大きな石が女達を埋もれさせ、床にたたきつけた。
「な、な、なんで岩がああああ、ぎゃああああ!!」「う、うそぉぉお、なんでええ……! うあぁぁぁあ!!」「きゃ、きゃあああ!! ちょ、なんなのこれ!!」
周りの客も何事かと集まって来て大騒ぎになってきた。こりゃいかんな。飯どころじゃなくなった。それに、ストレルカを貴族令嬢たちから遠ざけないと。
……って、逃げ出したよ。
なんだ、反撃なしの威勢だけか。
「スコル、ストレルカの治癒を頼む」
「はい、今ヒールを施しています」
すでにスコルは治癒魔法を発動。
ストレルカの傷が癒えていく。
良かった、もし顔を傷つけられていたら、一生ものの傷だっただろう。あの女共、最低最悪だな。
いくらヨハネスを振ったからって、そりゃないだろ。まあ、ヨハネスの妹らしいけどさ、そこまでやるか。
「ごめんな、ストレルカ」
「いえ、わたくしも突然のことだったので対処のしようがなくて……。でも、助けていただいて嬉しかったです」
家を追い出され、元婚約者の妹から嫌がらせを受け……散々すぎて、ストレルカが
「これで治癒は完了です」
「ナイスだ、スコル。頭を撫でてやろうか」
「えっ……ひ、人前で恥ずかしいですよぉ」
俺はなんとくスコルを撫でた。問答無用で撫でた。恥ずかしがって逃げようとするけど、それでも撫でた。
「スコル、ありがとな」
「ふにゃぁ……ラスティさん、そ、それはぁ……えへへ」
「さあ、飯にしようか」
「ありがとうございました、ラスティ様。でも、わたくしがいてはご迷惑ですよね」
「そんな事はない。俺にはキミが必要だ。ていうか、ストレルカがいないと島に帰れないし、それに、大切な仲間だからな」
ストレルカの頭もポンポンした。
すると、涙こそボロボロ流していたけど落ち着いてくれたようで、笑顔で俺の手を取ってくれた。さあ、気を取り直して晩飯だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます