植物改良ポーション

 釣りをやめ、俺はハヴァマールと一緒に畑の様子を見に向かった。


 スコルとルドミラは、ヌメヌメになった体を洗いたいと温泉へ行ってしまったからだ。

 森の中に入れば、直ぐに畑。

 エドゥとテオドールが立派に育った『じゃがいも』を収穫していた。


「早いな。もう穫れるんだ」

「ええ、ラスティ様。この島の土はかなり上質なので」


 腕にたくさん『じゃがいも』を抱えるエドゥ。子供の様に微笑んで、可愛らしい。


「にしたって早いな。何か秘密が?」

「そうさ、この私が製造した『植物改良ポーション』を撒いたからね。土と相性が抜群でね、なんとたった三日で育つようになった」



 [植物改良ポーション]

 [効果]

  植物の成長を促進する。

  植物の成長速度アップ。



 試験管に紫色の液体が入っている。

 明らかに毒々しいのだが……。

 大丈夫なのかな。



「へえ、さすがテイマーで錬金術師で鍛冶屋なだけあるよ」

「いやいや、こちらも世話になっているし、なんでも手伝うよ」



 テオドールは、器用でなんでも出来た。


 テイマーの素質があるから、家畜モンスターを育て畜産。錬金術師の知恵で今みたいな植物を育てる能力とか回復ポーションの製造。


 それで鍛冶屋。

 武器や防具の強化精錬。


 おかげで俺の武具も強化して貰ったし、ゲイルチュールや釣り竿だって強化して貰っていた。



「ありがとう。島はまだ人も少ないから、助かるよ」

「人員か。この島はかなり広いから……そろそろ、人を集めてもいいのかもね」



 そうだな。無人島のレベルは上がりに上がって『935』となっていた。開発もかなり進んでいたんだ。



 [無人島][Lv.935]

 [開発状況]

  ワークテーブルLv.10

  小屋Lv.10 ×10

  家Lv.10 ×5

  屋敷Lv.10 ×2

  空き店舗Lv.5 ×5

  ギルドLv.2 ×1

  城Lv.3 ×1


  沼Lv.10 ×5

  湖Lv.10 ×1

  川Lv.10 ×3


  温泉Lv.10 ×2

  畑Lv.10 ×10

  農場Lv.10 ×1



 [防衛設備]

  キャンプファイヤーLv.1 ×10

  木製防壁Lv.10 ×10

  石防壁Lv.10 ×10

  投石機Lv.5 ×5

  ボウガンLv.5 ×3

  大砲Lv.1 ×3

  魔導レーザー兵器(未設置)

  トゲトゲバリケードLv.10 ×10

  落とし穴Lv.10 ×10

  落石Lv.10 ×10




 ルドミラ、エドゥアルド、テオドールが島に来てから、開発が一気に進んだ。


 彼女達の力は聖魔伝説の通りに偉大だった。材料をどんどん集めてくれて、おかげで一度は魔王によって破壊された島も元通り――というか、それ以上となってしまっていた。


 もう人が普通に生活できる水準となっていた。



 それを思えば――そろそろ人を迎えるのはアリなのだろうな。それに、もうすぐで『Lv.1000』となる。スキルレベルが1000を突破すれば【開国】可能となり、正式に国として認められるようだ。



「でも、移住者の希望ってどうやって募ればいいんだろう」

「ドヴォルザーク帝国からでいいのではないかな。あの国に不満を持つ者は多いし」

「なるほどね」


 テオドールの言う通りかもしれない。あの国の貴族は、とにかく搾取しか考えていないし。重税ばかりで民のことなんて、これっぽっちも考えていないだろうな。



「ラスティ様、ドヴォルザーク帝国へ行くんですか?」



 エドゥが興味津々に聞いてきた。



「そうだな、久しぶりに様子は見てみたいかも。兄貴達がどうなったかも気になるし」

「分かりました。では、自分がテレポートしますよ」

「おぉ、エドゥが? いいね、それ。じゃあ、もう一人くらい連れていくかな」



 三人くらいでドヴォルザーク帝国を回ってみるか。向こうで移住者が募れるか考えてみよう。

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