真の魔王
謎のスキルが発動され、困惑する俺。
いったい、何が起きるっていうんだ。
嫌な予感がする……。
「だけど、諦めるわけにもいかないんだ」
「ラスティ、貴様はこれで終わりだ」
親父がニヤリと笑う。その時だった……世界聖書の白いページから大きな腕が現れた。闇とまるで血の通う血管が禍々しく枝分かれした……悪魔の手。
なんだこりゃ……!
「な、なんて魔力だ……」
「今は『腕』しか出せないが、これぞ
「なっ、魔王だと!?」
「そうだ。封印されし魔王・ドヴォルザーク!! この私こそが魔王の末裔だったのだ!! フハハハハ、フハハハハハハハハハハ!!!」
――そういう事だったのか。通りで世界各地を滅ぼそうとするわけだ。親父も、第一皇子も第二皇子も邪悪なわけだ……!!!
俺とハヴァマールは、見事にハメられていたわけだ!! くそが!!
サンダーブレイクが、魔王の手によって簡単に握りつぶされた。……嘘だろ!! あんなアッサリと!! ゴミみたいに!!
「ちくしょう!!」
「これぞ魔王の力。この力があれば世界を支配できるだろう!!」
「ふざけんな、クソ親父!! いや、もう親父じゃない、てめぇは魔王だ!!」
「……ラスティ。お前はオーディンの子だった。殺しても良かったが、この私がわざわざ拾ってやったのだぞ! 貴様がいなければ世界のバランスが崩れるからだ。だから生かした」
「そうか、俺は道具か」
「そうだとも。お前に愛もなければ、なんの感情も湧かなかった。無能で鬱陶しいくらいだった。私の子はワーグナーとブラームスだけなんだ。ラスティ、お前は家族でもなければ……敵の息子。悪いが、帝国の繁栄の為にその命だけを差し出してくれないか」
――最低な親父だった。
子供のころから冷たいとは思っていた。まともに話してくれたのは世界聖書の話をしていた時だけ。あれも……きっと偽り。帝国の事だけしか考えていなかっただけ。
俺にとって父親は、アルフレッドだった。子供のころからずっと傍で俺を見守ってくれていた。だけど無惨にも殺されてしまった。……許せない。この男だけは絶対に。
「アントニン……俺はもう親子の縁を切る。そもそも、家族でもなかった。俺にとっての家族は、この島の住人だ。帝国じゃない」
「ほう。なら、どうするのかね?」
「お前を殺す!!」
体力回復ポーション改、魔力回復ポーション改を使用して全回復。グラズノフ共和国で購入したアイテムをフル装備した。
キリングナイフ、ドラゴンマント、ドラゴンシールド、ドラゴンアーマー、ドラゴンヘルム、ドラゴンブーツ、ドラゴンネックレス……使えるもの全てだ!!
更に、無人島開発スキルを使用。
大量にある材料を使い、目の前に防御用の小屋を建てまくった。川や底なし沼も速攻で設置。これである程度は回避しやすい。
「ラスティ、貴様!! この能力はなんだ!! 地形がどんどん変わり、建物や自然が生えてきた……どうなっている」
「これは俺の最強能力だ。そして、お前を滅ぼす力だ!!」
小屋へ飛び乗り、俺は親父に急接近する。ナイフを突き立てるが、あの魔王の手によってへし折られた。……くそ、この武器では弱いか!!
「そんなゴミ装備で何ができる!!」
「うるせえ、トゲトゲバリケード!! 落石! 梯子!! キャンプファイヤーも落としてやる!!」
木材を大量に消費して、雨のように防衛設備を降らす。だけど、魔王の手が阻む。くっそ、厄介すぎだろう!!
「おのれ、面倒な!! 魔王・ドヴォルザークよ、ラスティのスキルを粉砕せよ!!」
ごうっと動く手が俺の攻撃を握りつぶす。くそう、このままでは……む?
その瞬間、凄まじい剣閃が走った。ビビるほどの白い光が腕を一刀両断する。
「ヘルブリンディ!!」
なんだこの白い光。
あの魔王の手を簡単に切断した。
光の中から現れる影。
コ、コイツは、まさか……!
「あんた……」
「ようやく会えましたね、ラスティくん。我が名は『ルドミラ』です! 助太刀に参りました」
「ル、ルドミラ!?」
目の前には、ビキニアーマーの騎士がいた。長く、綺麗な桃色の髪を
「遅くなって申し訳ない! あの手紙の後、魔法図書館へ向かうとそこには既に皇帝の姿があったのですが、彼は世界聖書を持ち出し、テレポートして逃げたんです。それで追いかけてきたのですが……まさか船がないとは!」
「お、泳いできたのか? だから、ビキニアーマー?」
「その通りです! 泳いできました」
マジか!
だけど、勇者が味方になってくれるのなら、百人力だ。俺とルドミラの力を合わせ……魔王をぶっ倒す!!
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