動き出す船、さらば共和国
アイテムボックスから『魔力回復ポーション』を取り出す。透明な
[魔力回復ポーション]
[効果]
魔力を少量回復する。
アイテムの詳細はシンプルだった。
とにかく、ハヴァマールに飲ませよう。瓶の飲み口をゆっくりと口元へ持っていく。そこへハヴァマールは口を寄せていく。まるで赤ん坊か小動物にミルクをあげるような感覚で俺は飲ませた。
「ど、どうだ……? てか、よくよく考えると恥ずかしいなこれ」
「ぷはぁ……美味しかったのだ兄上」
「そりゃ良かった」
ちょっとドキドキしちゃった。
ハヴァマールも頬を赤らめている。
なんだろう、妙な
いったい、どうして……?
◆
船に戻ると、料理が出来ていた。
「おかえりなさい、ラスティさん。ハヴァマールさん」
「お二人とも、おかえりなさいませ」
スコルとストレルカに迎えられ、そのまま席へ着く。豪華な料理に俺は驚いた。
「な、なんだか豪勢だね」
ライス、肉、麺類、海鮮、サラダ、デザート……どれも山盛り。作りすぎ~! けれど全部、俺好みの料理ばかりだ。こんな贅沢な料理は帝国以来だ。
「実は、こっそりアルフレッドさんから、ラスティさんの料理の好みを聞いておいたんです!」
スコルは“ドヤッ”と胸を張り、自慢気に話す。なるほどね~! そりゃ、俺好みの料理が集中するわけだ。アルフレッドめ……ナイスだ。
俺は、さっそくスプーンを手に取り――ガーリックライスを一口戴く。もぐもぐと味わう。……美味い。濃い味で実に俺好み。こんな贅沢品が食べられるとはなぁ。
「ど、どうですか?」
「うん、美味しいよ。スコル」
「良かった~! たくさん召し上がって下さいねっ」
「うん、いただくよ」
食事を進めていると、ストレルカが料理を差し出してきた。
「あの、わたくしの料理も食べて戴けませんか?」
「これはペペロンチーノか……どれどれ」
麺をフォークに絡めて口へ運ぶ。すると、上品なオリーブオイルの風味が広がった。……うまっ!
あまりに美味しくて、がっついてしまった。
「その様子ですと、お気に召して戴けたようですね!」
「うん、最高だったよ、ストレルカ。幸せでいっぱいだよ」
「良かったです、ええ……本当に」
なんだかストレルカまで幸せを感じていた。上手くいったのが嬉しかったんだろうな。これもスコルのおかげか。なんだかんだ二人が和解できて良かったと思う。
「海鮮とかも戴こうかな」
「ええ、それは魔導式冷凍庫で保存していたものなので、ほぼ新鮮な味わいを楽しんでいただけるかと」
「そりゃ凄い」
「ああ、そうでした。それと、船をそろそろ出航させますね。移動も兼ねないと明日には到着できないのです。よろしいですか、ラスティ様」
「それなら構わないよ。じゃあ頼む」
「はい、では出航しますね」
ストレルカが手を叩くと、船は勝手に動き出した。
「おぉ、どうなっているんだ?」
「大精霊による自動操縦です。オケアノスは、海そのものですから自由自在ですよ」
さすが
ここまで出来るとはな。
そんな感心の中、スコルが一口サイズの肉をフォークに刺して俺の口元へ運んできた。
「え? スコル?」
「はい、あ~んです♡」
「えっと……」
困惑しているとストレルカもムッとして肉を出してきた。
「ラスティ様、こっちです! はい、あ~ん♡」
「え!?」
ストレルカもかよ!
そして、ついにバトル
「ストレルカさん! ラスティさんが困ってます!」
「スコルさんこそ、“あ~ん”はしないと約束したはずですよ。裏切者っ!」
「う、うるさいですね……」
あ~あ……せっかくいい雰囲気だったのに。
◆
――食事を終え、お腹が満たされた。あんなに食べたのは久しぶりだ。しばらく動けそうにない。部屋に戻って、俺はベッドへ横になった。そういえば、こんな寝心地の良いベッドも久しぶりだ。
フワフワしているし、最高だな。さあ、明日にはエルフの国だ。寝よう……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます