二人きりのデート!?
食事を終えると、アルフレッドが目を覚ました。
「……ラスティ様、私は……」
「死んでなかったよ、お前は。心配させやがって」
「も、申し訳ございません。今回の件、主を守れなかった私の不徳の致すところ……なれば、全身全霊の誠意を――我が腹を切って詫びましょう。ラスティ様、どうか
いつの間にか包丁を手にするアルフレッド。
「やめんかッ!!!」
マジで自決しかねないので、俺は止めた。
「で、ですが」
「お前は俺の執事だろ。なら、俺の命令は絶対だ。生き恥でもいい、足掻いて足掻いて足掻き続けろ。それが俺に、いや、みんなに対する誠意だ」
「……ありがたき、お言葉です」
ダバ~っと例の如く涙を滝のように流すアルフレッド。まあいいか、生きてくれるなら、俺はそれでいい。
◆
さあ、もう今日は寝よう。
自室へ戻り、固い木製ベッドへ横になる。そろそろ『糸』でもゲットしてフカフカのマットとかシーツを作らないとな……これは体によくない。節々が痛い。
寝具もなんとかしないと――そう思いながら、俺は泥のように眠った。
――少し寒い朝を迎えた。
眠たい目を擦り、起床するとノックが響く。
『おはようございます、ラスティさん』
「スコルか。今丁度起きたところだ。入っていいぞ」
「お、お邪魔しますね」
いつものエルフの民族衣装のスコル。相も変わらず金髪がキラキラと輝いている。あの自然界にしかないような深緑の瞳で見つめられると、ドキドキするな。
俺のベッドに腰掛け、スコルは俺を見つめた。
「どうした、スコル」
「ラスティさん……あの、今日は久しぶりに二人きりで何処かへ行きませんか!?」
おぉ、そういう事か。
スコルからのお誘いってわけか。
ん? でも、どうして?
みんなとではなく、俺と二人きりとは……う~ん。でもまあ、俺もたまにはスコルとペアで行動したいな。
「分かった。スコルにはいつも料理とかでお世話になっているし、そのお礼も込めて今日は二人で島を歩こう」
「ほ、本当ですか……嬉しいなぁ!」
めちゃくちゃ嬉しかったらしく、スコルは俺の腕に抱きついてきた。……うわッ、なんか弾力のあるものが腕にィ!!
「…………おふぅ」
「ラスティさん、なんか耳まで真っ赤ですけど」
「ス、スコルのせいじゃないか……」
「あっ、ごめんなさい」
気づいたのか離れてくれた。
……スコルって柔らかいなぁ。
部屋を出て、一階のリビングで朝食を済ませた。今日はバナナを食べた。普通のバナナなのに、なんて美味。まるで高級食材を食べている気分だ。勢いでモグモグ食ってしまった。栄養価も高いというし、これは朝にバッチリだな。
「――というわけで、ハヴァマールとアルフレッド。今日は、スコルとの先約で二人で出掛ける。悪いけど、食糧確保を頼むわ」
「な、なんだって!! 兄上、この余を置いていく気か!!」
「兄ちゃんの言う事は聞くものだぞ、ハヴァマール」
ハヴァマールの頭を撫でながら懐柔した。
「ふにゃー…分かった。兄上の言う事は聞くのだー」
よしよし、ハヴァマールの扱いはもう攻略済み。これでもうバッチリだ。あとはアルフレッドだが――わなわな震えているな。
「ラスティ様! せめて護衛は必要でしょう」
「いらん。寧ろ、アルフレッドがハヴァマールの護衛をしてくれ」
「で、ですが……」
「命令だ」
「ご命令とあらば……うけたまりました」
あっさり身を引いた。
よ~し、これで出掛けられるな!
◆
玄関を出て、スコルが足を止めた。
「どうした」
「支援魔法を掛けますね」
手をこちらに向け、スキルを発動する。
これは支援の『キリエ』と『グローリア』か。そうだな、スコルの支援魔法も強化してやりたい。今後、またボスモンスターと遭遇する可能性もあるし。
「ありがとう、スコル。じゃあ、材料集めに行こうか!」
「はいっ、ラスティさん!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます