三階建ての家

 家に戻ると、スコルとアルフレッドが出迎えて、心配してくれていた。いかんな、少し遅くなってしまった。


「すまない、二人とも」


「ラスティさん、とても心配しました。……って、ハヴァマールさん、大丈夫なんですか!?」


「ああ、コイツは疲れているだけだ。もう立たせるよ」

「そ、そうなんですね。良かったー」



 俺は、ハヴァマールを背中から下ろした。



「ありがとなのだ、兄上」

「構わんさ。それより、アルフレッド。泣きすぎだろ」


 目の前でダバダバと涙を流す執事。

 俺を心配する気持ちは嬉しいが。


「ずびばぜん……ぼっちゃん。心配で心配で」

「すまんって。でも俺も強くなったし、そう簡単にはくたばらんよ」


「ええ、この島に来てから、ぼっちゃんの成長は著しいです。こんなにたくましくなられて……私は嬉しいのです。その感動の涙もあったのです」


 まったく、心配性というか過保護というか。でもまあ、忠義にあつくて俺も嬉しい。


 そのままテーブルへ向かい、食事となった。


「今日も“イノシシ肉”です!」


 と、スコルは予め焼いてくれた肉を“大きな草”に盛り付けていた。皿の代用か、なるほど、この手があったか。

 料理のバリエーションが無いのは仕方ない。ワークテーブルは習得したが、肝心の『鉄』がまだ入手できていない。鉄鉱石を鉄に変えないと……作業は明日だな。



「まあでも、イノシシ肉もクセになる味だよな」

「ええ、とてもジューシーです」


 高齢であるアルフレッドの口にも合うんだ。とはいえ、今は贅沢も言えないし、これでも十分な食事。早く、もっと豪華にしたいなあ。



「スコル、アルフレッド、聞いてくれ。明日には、調理器具を作る」


「「おおっ!!」


 二人とも感激していた。

 さっき洞窟ダンジョンへ行って『鉄鉱石』の入手をした経緯を説明。二人とも「凄い!」と感心していた。



「兄上の活躍は素晴らしかった。あの聖騎士も処理に苦労する『エクスキューショナー』という高レベルモンスターを見事排除した」



「なんですと!?」



 ガタッと椅子を立つアルフレッド。すっごく驚いていた。



「どうした、アルフレッド」

「いえ、あの……ラスティ様。エクスキューショナーは、聖騎士三人掛かりでようやく倒せる強敵ですぞ。それを倒されたのですか」


「……へ」



 ちょ、マジィ!?

 聖騎士三人分の強さだったのかよ、エクスキューショナー。道理で手がしびれたわけだ。てか、あの大剣を食らっていたら、俺、大ダメージだったんじゃん。おいおい、そんな敵と戦わせるなよ、妹よ!


 倒せたから良かったけど!

 良かったけども!!(涙)



「……あは、あはは……」



 ハヴァマールは、笑って誤魔化す。

 後でお仕置きだ。



「それにしても、家が豪華になったな」



 見渡すと、内装も変わっていた。明らかに広くなり、天井も高くなっていた。



「ええ、ラスティさんが増築なされたのですよね」

「まあ、家のレベルアップしたよ。でも、全然確認してなくてさ。スコル、家はどうだった?」


「ええ、気づいたら三階建てになっていました! 廊下も長くなったような……」



 どうやら部屋数も増えているようだ。物置部屋とかに出来そうだな。トイレの数も増え、風呂も大きくなった。もう貴族の屋敷に近いかも。


 あと、煉瓦れんがで強化されて自然災害耐性もアップしたようだ。

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