超絶ウルトラ最大級に映画をつまらなくする視聴方法 『〇〇と〇〇する』

『他作品と比較する』


 これ、やっている人って、結構多いのではないだろうか。


 映画を採点方式で視聴なさっている方に多い。

 いわゆる映画コメンテーター志望と言うか。


 とにかく採点をして、


「過去のこういう作品と比べると、ちょっとなー」

「前に同じ系統の作品を見たなー」

「昔は表現もオープンで、よかったなー」

「それに引き換え今は女優もTKBを出さねーなー」


 と散々言うのだ。


 ごく最近の作品で言えば『ジョーカー』だろう。

 

 ホアキン・フェニックス版の。


「ヒース・レジャーがジョーカーを演じていた『ダークナイト』の方が、素晴らしい!」

「ホアキン版は、地味! つまらん!」


 という意見をどれだけ目にしたか……。



 オレはその度に、


「はあ? テーマが違うんだから、当たり前だろうが! 何ランク付けしてんねん!」


 と内心イラッとしていたものだ。



 そもそも、この二本を格付けすること自体がおかしいのである。



『ダークナイト』は、「絶望的な状況下でも、人を信じること」の話である。


 対して『ジョーカー』は、「人が悪に飲まれる経緯」を掘り下げている。


 作品の性格、テーマがまるで違うのだ。 

 

 また、ジョーカーの魅力は、

「質感もカリスマ性も品位も知性も背丈に至るまで、作品ごとに違って、正解がない」

 ことだ。 


 ヒース・レジャーは、たしかにすごい。


 彼は同じくジョーカー経験者のジャック・ニコルソンから、

「あの役は、魂持っていかれるぞ」

 と、警告を受けていたらしい。

 実際、彼は死んだ。 


 とはいえ

「ヒース・レジャーのみが、真のジョーカーである」

 なんて見解は、ちょっと違うのではないだろうか。


 誰の心にもジョーカーはいて、誰もホンモノのジョーカーではない。

 それこそ、ジョーカーの魅力なのだ。


 これが、おそらく超絶映画の楽しみを妨げていると言えよう。


 俺もリメイク版とかはちょっと注意している。

 どうしても過去と比較してしまい、

『深作健太版 魔界転生』

 とかを、見てもいないのに批判してしまいそうになる。


 今だったら、あれよ。

『ゴーストバスターズ』のリケジョ版とか、正統続編とか。 


 そのたびに「イカンイカン」と、自分にムチを振るう。



■オススメの対策


『変に期待しない』


 どのエンタメでも思うが、比較はマジでヤバイ。


 それは、過去作と比較して「変な期待を持って」しまっているからだ。


 別作品で、グレードが上がっていようが落ちていようが、割り切って見てみよう。



 どんな名作も、ランク付けした瞬間、一瞬で色眼鏡で見てしまう。


 そもそも作品なんて、「人によって感じ方も刺さり具合も違うもの」だ。


 自分の意見だけが絶対ではない。


 自分だけの考えで物事を見ていると、一瞬で視野が狭くなる。


 客観的に物事を見て、そこから自分なりの考えへ昇華していけば、もっと広い視点で分析できる。

 感想も、より深いものへと変わるだろう。

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