#43 部長のデレ期、到来



 いつもの様に、メグっちやクルミと学校へ登校。



 クルミと別れメグっちと二人で「見せブラとしてスク水の代わりに競泳水着はアリかナシか」を議論しながら教室へ向かう。

 俺はアリ派だ。 メグっちは生地の伸縮性次第だと言う。 要は着てみないと分らないということだ。 教室に着くころには「今度キョウコちゃんに買わせて試してみよう」という結論で落ち着いた。


 そんな有意義な朝の語り合いをしながら教室に入ると俺の席の隣には、既にフジコさんが来ており大人しく座っていた。



「おはようございます、フジコさん」


「お、おはようございます!!!ノリオくん!!!」


 うぉ!?

 滅茶苦茶元気いいな!

 ビックリしたぞ。


「昨日はありがとうございました! とても楽しかったデス!!!」


「そ、そう? メグっちたちのノリに着いていけてなさげだったけど?」


「いえ!大変勉強になりました!」


「はぁ、そうですか」


「それに・・・ノリオくんの歌がとても素敵で・・ゴニョゴニョ」



 やはり確変来てるのだろうか。

 明らかにキャラ変わってるぞ?


 試しに少しだけ揺さぶってみるか。


「歌くらいで喜ぶなんて、まったく。 今度はフジコさんの為だけに歌おうか?」


「はぅ♡」



 あ、コレ間違いない


 フジコさんは今デレ期に入ってる。季節の変わり目だしな。



 そんなフジコさんの反応が楽しくて、耳に息吹きかけて「ひゃん♡」って反応をついつい楽しんでいると、キョウコちゃんがやってきてHRが始まった。



 席に着いて何気無くメグっちの方へ視線を向けると、メグっちは俺に向かって(メグが言った通りっしょ!)とでも言いたげにサムズアップでウインクをしていた。



 昨日の帰りにメグっちが言ってた様に、フジコさんのこの反応をメグっちは予想していたようだ。


 流石陽キャのメグっちだぜ。


 にしてもメグっち、なんだかフジコさんも俺のハーレムに入れたいかのような言動だな。


 俺はハッキリと拒絶の態度を一度表明しているから、今更自分からは口説いたりは不味いと思うのだが、その辺どうなるんだろ?


 お昼に弁当食べながらでもメグっちに聞いてみるか。

 サクラさんの意見も聞けそうだし。





 で、お昼休憩。


「あ、あの!ノリオくん! 私もお昼ご一緒しても良いですか!?」


 昨日のカラオケに続いて、またしてもフジコさんからお昼混ざりたいと言い出した。

 だが、フジコさんのことでメグっちたちに相談したかった俺は断ろうと考えた瞬間


「おっけ~!フジコちゃんも一緒に弁当くおーぜ!」


 またメグっちである。

 相変わらず遠慮とか警戒心とか全く無いノー天気ギャルだ。


 メグっちにOKを貰ったフジコさんは、そそくさと机ごと移動して食事の準備を始めた。


 やれやれだぜ。



 因みにだが、俺とフジコさんの机を向かい合わせでくっ付け、俺の対面にフジコさんが座り、俺の左右にべったりくっ付く様にメグっちとサクラさんが座っている。 いつもは1つの机に3人集まってて狭くて食べ辛かったのだが、折角机が2つに増えてスペースが広くなったというのに全く有効活用されておらず、相変わらず狭いままだ。


 バランスを無視した配置で、典型的なハーレムポジション。 

 まぁ、コレもハーレム主人公力の弊害と言えよう。



「それで、月野さんはどうして急にノリオにアプローチ掛け始めたんだ?」


 サクラさんまでも遠慮知らずに、どストレートに切り込んで行きやがった。


「そ、それは・・・ノリオくんに怒られて目が覚めまして・・・・その・・・・」


「なるほど。 色々分からないでもないけど、ノリオが怒るのってよっぽどの事だからね? これからは自重してくれれば私たちは何も言わないよ」


「まーフジコちゃんもノリオ居ないと寂しいんだし? もう、好きって言っちゃえよお前オメェ!って感じだし?」


「ひゃぁぁ!?」


 メグっち、突然ブッ込みやがった。

 そしてまるで図星を付かれたかの様に悲鳴を上げ顔が真っ赤になるフジコさん。





 今日もおかずのから揚げ、柔らかくて美味しいな。

 因みに、今日のから揚げも冷凍食品だ。



 フジコさんの処遇にまだ明確な結論が出ていない俺は、敢えてスルーした。









  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る