#03 美人教師とHR



 HRが始まるチャイムが鳴ると、メグっちは不服そうな顔をして渋々自分の席に戻って行った。


 そんなに俺と離れるのが寂しいのか

 可愛い幼馴染だぜ、まったく


 そう

 俺は罪作りな男、ノリオ。





 担任教師が教室に入って来て朝のHRが始まる。



「水元ー! またお前の名前が風紀委員会から報告あがってるぞー!」


 おっと

 サクラ先輩、いくら俺のことが好きだからって、担任にまで言わなくてもいいのに

 外堀を埋めようって魂胆か?


 ここはスルー、一択だ!



「気のせいです」


「いや、気のせいじゃなくて、実際に実名で報告が上がってるんだよ!」


「他人の空似です」


「いや、だから実名なんだよ!」


「双子の弟だと思います」


「お前双子じゃないだろ!」


 先生、今日はやけにしつこいな


「・・・・キョウコちゃん、もう後が無い年齢なんだからもっとお淑やかにしなくちゃ。まったく困った子猫ちゃんだぜ」


「水元ー!!!今お前強引に話題変えようとしただろ!!!しかもお前!言っていいことと言ったらダメなことがあるだろぉぉぉ!!!いま言ったらダメなことをさも憐れむ様な眼差しで言っただろぉぉ!!!!」


「だからそんなに興奮してたら小皺増えちゃいますよ?」


 その瞬間、黒板消しが飛んで来て、黒板消しの硬い部分の角が俺の眉間に直撃した。


 ぐおぉ!?

 相変わらず情熱的なキョウコちゃんだぜ





 担任の火野キョウコ、通称キョウコちゃん、29歳独身で彼氏募集中。


 担当教科は現国で文芸部の顧問も担当している。

 容姿は、流石30代目前、メガネが似合うアダルティで色気のある美人さんだ。

 ただ、残念なことに言葉使いは荒いし短気ですぐ怒る為、嫁の貰い手が未だ現れず、今日もこうして俺に八つ当たりという名の恋のアプローチをしてくるってわけだ。


 いくら結婚に焦っているからって、生徒にまで手を出そうとするなんて、まったく困った子猫ちゃんだぜ


 そう

 俺は罪作りな男、ノリオ。




「水元!お昼休憩、弁当食べたら職員室に来い!」


 どうやら二人きりで話があるらしい


「それって、告白イベントですか? キョウコちゃん、色気ムンムンの大人なお姉さまタイプで容姿は文句ないんですが、ちょっとその気性の荒さは・・・ごめんなさい」


「いまなんでフラれてるんだ、私は・・・水元の相手するの疲れる・・・」


「おやおや、いくら若作りしてても、寄る年波には勝てませんか。あまり無理はよくありませんよ?」


「・・・・」



 ふっ

 俺のイケメントークに、流石のキョウコちゃんもキュンキュンしすぎて返事も出来なくなっちまったか

 やれやれだぜ



 こうして、今日のHRもキョウコちゃんによる俺への恋のアプローチで終わった。


 そう

 俺は罪作りな男、ノリオ。





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