うさぎさんと女の子

 うさぎが飛び出した。


 鏡の中から出てきた。


 赤いお目々をパッチリさせて、白い体毛をフワフワさせて、大きなお耳でプルプルプル。


「うさぎさんどうしたの?」


 冷静な女の子なので、うさぎさんに聞いてみる。


「寂しいの」


 うさぎさんは答える。


「じゃあ遊ぼう!」


 女の子はうさぎさんに球を投げる。


 うさぎさんは鏡と一緒に割れてしまった。辺りにはたくさんの赤いお花が飛び散った。


 女の子は泣いた。そして世界がグニャリと曲がると目を覚ました。


 高校生になった今も10年前の死を夢に見る。

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