花のような彼

 花はいつか枯れてしまう。人も同じだ。人もいつかは死んでしまう。でもどちら共にその時までは美しくあろうとする。

 私は最後まで美しくあろうとした彼を忘れたことはなかった。例え癌が転移を繰り返しても、例え体の一部が次々無くなっても彼は最後まで笑っていた。

 とても凄いことだと思う。だってそれって凄く苦しくて、痛くて、誰にも理解してもらえなくて。それでもみんなの為に嘘でも笑って我慢することだから。

 私は彼を忘れなかった。忘れられなかった。彼みたいに美しくいたかった。

 だから余命一ヶ月の最後くらい、彼みたいに笑っていたい。私も彼のような花になりたい。

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