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などという展開になるはずもありませんが、なにせ私は先にも申しましたように、小心者ですのでね。
かといって女装はやめられませんし…
ともあれ、北口付近よりも賑やかな雰囲気。まもなく私は、このロータリーから放射状に伸びる道のうちのひとつに入りました。
それなりの人通りに、これまた緊張。両側に商店等が並ぶといった、ごくありふれた景色を視野に、そそくさと先へ進みます。
「ちょっと、あなた男…」
どきっ…!!!
つ、ついにバレた!?
そう思って振り向けば、
「…の子、見なかった? 5歳くらいの」
初老のご婦人が、私の背後に立っています。
「い、いえ、見なかったですけど…」
あー、びっくりした。
もう脅かさないでくださいな。おばさま。
と、撫で下ろす傍ら見回せば、向こうのおもちゃ屋さんの前に、どうやら該当者らしき男の子の姿が。
「ひょっとして、あの子じゃ…」
このご婦人のお孫さんでしょうか。その男の子の方を、私は手で示しました。
「あ、そうそう。ありがとうね、可愛いおねーさん」
私に向かって会釈するや彼女は、小走りに、おもちゃ屋さんの方へと去ってゆきました。
あふー、焦った。心臓から口が…いえ、口から心臓が飛び出すかと思いました。
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