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 平日のお昼過ぎのせいか、このドアを背に見た限りでは、お客さんは2人。自宅から徒歩5分ほど、行きつけのコンビニの店内は静かです。


 実は、それも予想済み。あんまり人が多いと、やはり緊張しますのでね。


 普段『本来の姿』で来る時とは違って。


 じゃあ、まずはヘアゴムとスキンケアクリームを買おうと思います。


 で、それはご多分に漏れず、窓際の雑誌コーナーの向かいの並びにあります。


 営業マンでしょうか、スーツ姿の若い男性が立ち読みする一方、私はその2点を求めて彼の斜め後ろへ。


 まあ、そもそも気にも留めてないんでしょうけど、幸い変な目で見られることもなく、まずは第一関門突破。私はヘアゴムとクリームをカゴに入れました。


 ほっ…


 では、次にお茶を買いましょう。


 あっと、角を曲がってみれば、そのドリンクコーナーにも若い男性が立っています。


 どきどきっ…


 でも、大丈夫そうです。いま彼の視界にも私の姿が入っているはずですが、こっちに怪訝な目を向けてくるような気配はありません。


 それどころか、彼は私にポジションを譲ってくれました。


 ありがとう。笑顔の素敵なジェントルマン。


 まあ、私も『マン』なんですけどね。


 次に、真ん中の列で幾つかお菓子を買って、最後におにぎりを…と思ったんですけど、いまそのコーナーには、作業着姿の中年男性がいます。


 ちょっとコワモテ。あまり近づかずに、やり過ごす方がよさそうです。


 そんな、悪人とか言ってる訳じゃないですよ。ただなんとなくです。


 ところが、少し離れたところで品物を眺めて待つ私に、


「ん、ちょっとお嬢ちゃん…」


 と、いきなり声をかけてきたのは、その中年男性です。


 どきっ…!


 ひょっとしてバレた!?

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