第25話頼もしい仲間達
「――私が……倒す…………」
「――リンは……回復……」
「――傷……ひどい…………」
俺の耳に届く三人の女の子の声。
何が起きているのだろう。
体がピクリとも動かない。意識もギリギリ……。それになんか……、
『ゴガァァッッッ!』
【ゴーレムナイト】の声聞こえるんですけど……。どうなってんだよマジで……。
背後で女の子達の声と鉄の音が響く中、俺は何も理解することなく、またゆっくりと暗転した――
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「……ですか、大丈夫ですか」
「……ん……ん?」
どれ程経ったのだろう。
目を覚ますとそこは、見慣れない
ということも無く、岩、岩、岩……。 ここまで来ると部屋が変わってても岩しかないから分からんな……。
そんなことを思いながら、とりあえず状況整理しますかぁと、横を向いた状態からゴロンと仰向けになったときだった。
「おお!?」
そこには俺の顔を心配そうに覗き込む茶髪の女の子がおり……、
「大丈夫ですか? 怪我はもう痛まないですか?」
「な……っ! ななな!」
美女現る――
……え、可愛い。え、僕興奮しちゃうよ?
余りにも縁離れしていた展開に目を丸くしながら、俺は口をパクパクさせる。
な、なんだお前! 短髪はあまり好みではなかったが君なら許せちゃうよ!?てか何ですか、汗かいてるのにいい匂いってなんですか、髪の毛に鼻突っ込みてぇぇぇぇッッッ!!!
「ま、まままままぁ、余裕でちゅよね! 怪我くらい!」
「でちゅ?」
安定の滑舌に涙を流しながらも、俺はゆっくりと体を起こし、これ以上興奮する訳にはいかない! と箸休め程度に辺りを見渡す。
ふむ。ここは……。
勿論モンスターの姿は無く、クレーターなども無い……。それに、
「おおおおお! 起きてんじゃーーん!」
「流石私の魔法。完璧……」
「また新キャラかよ!」
背後から現れたのはそれぞれ違う色の杖を持った、元気百倍系女子のピンク髪を三つ編みにした子と、ダラダラ系女子の青髪をストレートにした女の子。
あ、一応言っておくけどさ、
鬼可愛いッッッ!!!
いやいやいや、可愛すぎ! 元気な子っていうのはやっぱり元気を貰えますねぇ、それにこのダラダラ系の安心感! 萌え袖最高! 抱き枕にしちゃいたいっ!
うほほい! と鼻をふくらませながらガン見する俺を見て、なにか私についてる!?とあたふたするピンク三つ編みを置き去りに、青髪の女の子はトコトコと俺に近づき……。
まるでペットの頭かのように俺の頭に右手をぽんっと置き、
「……うん。傷ふさがったね……。はいこの私、リン様の魔法を褒めなさい。ほら、早く、早く崇め奉りなさい」
「……!?!?」
おま、おま、おまっ!!
低身長、ダラダラ……それプラスドSだと!?
くっ、こんな属性パーティがあったとは! 盲点だったぜ!
なかなかいいドSっぷりにご主人様ありがとう! と変態を全開にしている時に、俺はとてつもなく、死ぬほど大事なことに気づいてしまった――
「いやちょっと待て……お前達ミルクの事知らない?」
それは、もう瀕死状態だった大事な大事な仲間……。
部屋を見渡してもどこにも姿のないミルク。
案じてしまう。
手遅れという現実を――
そんなはずない! と立ち上がった俺は、部屋に唯一ある出口に急いで向かう。
「ちょっと、いくら魔法で傷塞いでても、魔力は回復してないんだからね!」
「いや、それでも助けねぇと!」
出口の近くにいたピンク三つ編みが俺の手を握り、引き留めようとするのを振り払い、
たかった――
(……っ、コイツの握力……)
桁違いの握力に動けなくなった俺は、その場に留まりながらも食って掛る。
「いや待て待て、状況的にきっと君たちが俺を助けてくれたんだろ? 傷も全部治ってるし、それはとてもありがてぇけど! 俺の目の前に女の子いたろ、赤髪の巨乳でエッチな女の子いたろ!? 俺あの子助けれなかったら死んだ方がマシなんだよ!!!」
そんな焦りと不安で声を荒らげる俺の声に答えたのは、その場にいる誰でもなく……、
「エッチって……私の事そんな目で見てたの……? ま、まぁ後半のセリフは嬉しかったけど……」
「……!?」
それは
顔を赤らめながら自分の体を抱きしめるえちえちミルクは、変態……。と小さく呟いたあと、もうリクくんなんて知らない! と俺の前を早歩きで横切る。
やべぇ、安心した。すげぇ、こんなに元気な姿を見るのが嬉しいなんて……! っていう気持ちは勿論あるんだけど、早歩きしてるせいで揺れてんのよ、めちゃめちゃ揺れてんのよ、もうたゆんたゆん!
一歩一歩歩く度に上下する柔らかい胸を凝視し、つい俺は言葉をこぼしてしまう。
「おう。ナイスおっぱい……」
「……っ! むぅ~~~~~っ! 起きたらいっぱいありがとうしようと思ってたのに! 変態には感謝なんてしません!!」
俺の変態発言にプンプン怒りながらもどこか嬉しそうに笑ったミルクは、恥ずかしそうに背中を向け、リクくんありがとう、私を守ってくれて……。と、小さく呟いた――
らしい。
「え、今なんか言った?」
「………………」
ごめん。胸見てて話聞いてなかった――
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