卒 園 (副題︰天地創造前夜にまつわる二、三の伝承)

嵯峨嶋 掌

養成学園

 ……物心ついた頃、すでにぼくは[創造主・養成学園]にいて、頭がいたくなるほど智識と習俗とさまざまな超能技ちょうのうぎなどを詰め込まさせられていた。


「光、あれ」


 と、右手をあげて叫ぶと、いつもいつもいつも(あ、何度もいわなくていいよね、でも、強調したい気持ちだけはわかって欲しくてさ……)、先輩の創造主候補生たちから注意されるんだから、たまったもんじゃなかった。


『……いま、「光、あれっ?」と、聴こえましたぞ。そんなことでどうしますっ! 腹に気をめて、おごそかに、かつ、居丈高いたけだかに……、ここがポイントなんです、はい、メモメモ……そうやってすぐメモる癖をつけておかないと、いろんなパターンがありますから、この私でも全部は覚えてられやしませんからねっ』


 こんなことをぶつくさ言っている先生がいる一方で、

『てやんでぇ、そんなくだらねぇ形式なんてものにすがりつくんじゃねえよ……ったく。な、わかるだろ? 何事もぶっつけ本番でいいのさ。そのつど迷い、考え、まず、やってみる……失敗することをおそれちゃいけない。な、みんなと、おンなじようにやって、おンなじカラーに染まるなんて、そんな、神生(註︰人生のこと)、むなしいとはおもわないか?』

と、ややで、自分だけは他の連中とは違うぞ!……としきりにアピールしている先生もいた。


 雑多な……という表現が適しているかどうかわからないけれど、そういう多様な性格、性向、性根しょうこん性行せいこうの先生たちばかりだ。だってさ、この創造主養成学園の先生たちは、実は……みんな、創造主に落ちこぼれなのだから。

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