副業開始! 2
「みなさんこんばんわ! 今日も見に来てくれてありがとう!」
今日も家に帰ってきてすぐに配信を始めた。
最近は配信をつけると直ぐに来てくれる人が3人もいる。
・こんばんわ
・今日も始まった!
・こんばんわ〜
積極的にコメントをくれるし、本当に嬉しいばかりだ。
・今日もお仕事お疲れ様〜
「ありがとうございます! 今日も死ぬ気で終わらせて来ました」
自分自身でもこんな風に、人とコミュニケーションを取ることがあるなんて、思いもしなかった。
目の前にしていないのに、とんでもなく、身近に感じることができる。
・前からちょっと気になってたんだけど、副業って大丈夫なの?
「いや、痛いところ突かれるな〜。聞いてないけど多分駄目だと思う」
おそらく俺の会社はアウトだと思う。SEって仕事上、個人で仕事を取ってこようとすれば出来てしまうからだ。それを許可してしまうと会社で取ってくる仕事に支障が出てしまう。
元値は安くても、会社に引かれる分を差し引くと+になることなんてざらだ。そうすると依頼主は、安い方にいってしまうから、会社に仕事が回らなくなってしまう。
・wwwww
・バレたらやばいじゃんwww
・大丈夫なの声のせちゃってるけど?
「まあ、他にもやってる人はいるだろうし。多分声くらいじゃわからないでしょ」
俺も笑いながら答える。
それに、今こうして見てくれる人がいるが、無名も無名の配信者なんてバレる訳がない。
「まあ、じゃあ今日もやっていきますか!」
みんなと会話をするためにも、毎日やっているまである。今はまだ、3人だが。ゲームを初めて少し経つと、2桁くらいにはなる。
自分でも思うが、俺のプレイはうまい。だから、プレイ目当てで見に来てくれる人もいるんだと思う。
・うぃー!!!
・ファイトー
・何時までやりますか?
「うーん、明日は、休みだけど12時くらいまでかな? 明日は、いつもどおりの時間に起きて、編集したいから」
マッチ開始を押し、マッチング待機中にそう答える。
・今日はなに使うの?
「うーん、今日はタンクのジョブを使ってみようかな」
初めのころは、アタッカーばかり使っていたから、そろそろ違うジョブに手を出そうかなと。このゲームのことを理解していないうちは、ただ相手を、キルすればいいと思っていたのだが、どうやらそんな簡単なものでは無いらしい。
意外と奥深く、ジョブごとに持てる武器は違うし、HPも違う。わざわざジョブが、分かれているだけあって、きちんとその特性を理解することが大事になってくる。
・ということは上手くいったら動画いきか
・盾はマジで楽しくないから楽しさを教えて欲しい
「俺も、あんまり使ったことないから、うまく使えるか分かんないんだけど、今日色々と、考えて来たからそれを試してみるよ」
このゲームの花形は間違いなく、アタッカーだ。だけど、アタッカーだけでことが足りるのであれば、盾なんてジョブは存在しない。だからきっと、正しい使い方があるのだろうが、今でそれを使いこなしている人はいないようだ。
なぜかというと、解説動画でも、ランクマッチの配信でも盾を取り扱っている人が、ほとんどいないからだ。
・堂々と、仕事中にサボっていたと発言する、イカゲソ丸www
「いやいや、ちゃんと仕事してますって~。ちょっと、ちょっと息抜きでゲームのことを考えていただけですよ」
毎日、仕事から帰ってきて寝るだけの生活が一変して、ゲームに、配信に、動画投稿。
これはこれで忙しく、寝る時間や、日々の生活の無駄を削って、少しでも多くの、時間を取れるようにしている。だけど、本当に毎日が楽しい、充実している。
最近は、配信にも多くの人が、見に来てくれる。これも、投稿している動画のおかげだろう。自分で言うのもあれだが、かなり価値のあるものだ。
もともと、FPSの経験があったのもそうだが、俺は戦略系のゲームが向いているようだ。戦略や戦法の立て方が意外と多くの人の興味を引いているようだ。
それのおかげもあって、再生数もアベレージで10万くらいだ。
こういった、pvpのゲームは競争心を掻き立てるため、多くの人が集まりやすい。
その人たちが、動画や配信で質問を、残してくれるから、今の所、動画のネタにも困っていない。
どのジョブを使うのがいいですか?
AIM練習ってなにやってますか?
こんな場面のときどうしますか?
などなど、上げ始めたらきりがないほどだ。
俺が普段は意識してなかったものや、考えてもいなかったこと、などがあるから俺にとってもいい刺激になっている。
そういえば、先日俺のチャンネルの収益化通り、晴れて本当の意味での、副業が開始になった。
ありがたいことに、今もらっている給料より、少しかけるほど貰っている。
まさか、こんなことになるなんて、思いもしなかったというのが、本音だ。ゲームが上手いだけで、金が稼げるなんて、今はいい時代だ。
俺がプロだった時は、給料もなかったし、配信なんかもほとんどやってなかったからな。金が稼げると言うことが、いかに大事かということが、今ならよく分かる。
ゲームじゃなかったら、まず上手くいってなかっただろうな。というよりも、このゲームだったからだろうか?
始めたタイミングが本当に良かった。リリース2ヶ月で、動画投稿者もあまりいなかったからだ。
このまま、仕事を辞めようかと思ってしまうほどに、上手く行き過ぎている。
活動用のSNSまで作ってしまっているのだから、完全に浮かれている。
俺の人生で、こんなにも上手くいってたことはあっただろうか?
スマホで、俺の動画へのコメントを読みながら、物思いにふけている。
すると、1通のDMが届いているの気がついた。
ファンの方からメッセージを、直接いただくことが時々あるのだ。
だけど何度か、心無い言葉や、ゲームのアカウントを譲ってくれとか、ランクの代行をしてくれとか、なんていうこともある。
そう言ったのを、見るたびに、うんざりすることもあるが、毎回確認してしまう。
今回のは、そういったのじゃないといいのだけれどな。そう思いながら、タップして開いてみる。
ヴィクターさんですか?
「・・・・・・え?」
俺のも元に届いたのは、そのたった一文だけだった
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