第56~59日目 先生も男だな 9月

人とは、肯定的に捉えるタイプと否定的に捉えるタイプの2通りがある。深井先生は、まさに“肯定的に捉えるタイプ”のようだ。

ある日の日記に、こう書いた。



「私は制服のリボンの色は青が良かったです。」


『私も高校の時に同じことを思っていました。』


「最近、先生たちのネクタイが赤い人が多いです。秋→赤なのでしょうか?」


『気持ちとして明るい色を選んでいますね。』


「バスケは意外におもしろくなかったです。」


『技術のいるスポーツかもしれませんね。

先生も苦手です。』


「先生は席替えの時に、女子に囲まれたら嬉しかったですか?

私は男子に囲まれても、嬉しくないです。」


『女子に囲まれると緊張感を持って授業を受けられるという点では、良いかもしれませんね。』



すごい! すごい! こんなに否定的なことを書いても、肯定的にしか捉えないなんて、ある意味“神(かみ)”だ。じゃなくて、先生の“鏡(かがみ)”か。

おや? でも、”異性に囲まれると嬉しくない”のわたしの意見に関してだけは“良い=嬉しい”だから、反対意見になっているよね???

ここだけ不思議に思ったわたしは、次の日お父さんに聞いてみることにした。



「会社で女性社員に囲まれたら、お父さんなら嬉しい? 嬉しくない? どっち? 」



と言うと、間髪いれずに返事が返ってきた。



「男なら全員“嬉しい”に決まってんだろ!! 」

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