2020年4月10日(金)-5

 諸々の説明が終わって、ようやく体育館から教室へ。ちょっとは温かいかなぁなんて思ったけれど、全然寒い。ベランダ側の窓も廊下側の窓もめっちゃ全開だもん。そりゃあ寒い。凍える。


 正直先生のお話もよく頭に入ってこないまま、ただひたすら震えるだけで終わった。

 半分くらい散っちゃった桜に包まれながら、保護者の皆様が入学式の看板の前で撮影をはじめたので、うちも一枚撮っておくか、と列に並ぶ。


「ママ、めっちゃ寒い……」

「だよね。ママもさっきっからなんだか震えが止まらなくて。写真撮ったらすぐに帰ろう。もうパパにお迎えお願いって電話しちゃうわ」


 ということで電話して、娘の写真を急いで撮って、小学校を離脱。少し離れたコンビニの駐車場で待っていた夫と合流し、家に帰った。


「うぅ、家に帰っても全然寒気が取れない~」

「大丈夫? 風邪引いたんじゃない? ご飯作ったから食べな? 朝もばたばたしてなんも食べてなかったでしょ」

「えっ!? 作ってくれたん!?」


 見れば夫がご飯を炊いて、豚肉を焼いて待っていてくれた。息子と二人で待つ中、思い立って作ってくれたらしい。


「ありがとおおおお! めっちゃ嬉しい、めっちゃ美味しい!」


 焦げた肉でも、自分以外の人間が作ってくれた料理だと泣けるほど美味いもんだ。

 しかし食べても、もこもこの服に着替えてこたつに入ってもまだ震えてくる。娘はすっかり元気を取り戻して、そこらへんに転がって動画見て笑っているのに。


「疲れが出たんじゃない? 最近いろいろ張り詰めていたし」

「そうかもしれない。昨日もようやくプロットが思いついた感じがして、遅くまで書いちゃったんだよ。おまけに今朝は自分が高校生で、学校に遅刻する! お母さん送っていって! ってばたばた家を出る夢を見た。車で行くんだけど、なぜか道が台風に遭ったあとみたいにガタガタ崩れていて……」

「わりとハードな夢じゃん」


 疲れているんだよ、と重ねて言われ、わたしは情けなく思いながらひとまずこたつの中に横になる。夫も最初は半休だったが、急ぎの仕事は終わっているからと全休を取ってくれた。ありがたい。

 なんとなく、ひとの声もテレビの声も聞こえる中、ずっと横になりうとうとして、ようやく身体の震えが止まった~と起き上がったら、もう16時近くだった。


「3時間くらい寝てた!」

「それだけ疲れていたんだよ」


 夫が菩薩みたいな顔でうんうんとうなずいてくれたのが救いである。子供たちを見つつ、寝かせてくれてありがとう。


「本当にありがとうね夫氏。ついでに晩ご飯もよろしく」

「ええ~? さすがにそれはちょっと」


 と言いつつ、コンビニに買いに行ってくれた。マジで愛してるぜ夫よ。

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