2020年4月8日(水)

 さて、怒濤の一夜が明けて本日は幼稚園の始業式。

 数日前に知らされたとおり自由登園の方式は変わらずなので、登園日指定されている日以外は小学校に合わせてお休みすることにした。

 そして幼稚園バスも出ないことになったので、九時を過ぎた時点で息子を車にてぶいーんと幼稚園へ送っていく。


「○市君は今日から年中さんだから、今までのお教室に入らないで、年中さんの靴箱のところに行ってね。そしたら先生がどのクラスか教えてくれるからね」


 と道中声をかけたが、息子はよくわかっていないのか、あるいはよくわかっているのか、いつもは到着したらすぐに門に走って行くのに、今日は少々重い足取り。

 朝はさっさとおむつをその辺に脱ぎ捨て、つるっとした尻を高々と上げる伏せのポーズで、悠々とタブレットを見ていたくせに。あの余裕と自由さはどこへ行ったんだか。


 とはいえ担任の先生が誰かもわからない状態で放り込まれるのは確かにいやよな。幼稚園の門のところではマスクをつけた先生が「おはようございますー」と声をかけ、門をくぐる園児一人一人の手に消毒液をかけていた。


「じゃあ○君、行ってらっしゃい」


 門のところで見送ると、息子はなにも言わず振り返らず、のたのたと鞄を引きずって歩いて行く。大丈夫かなぁ? 午前保育だから二時間程度で帰ってくるとはいえ。


 家に帰ると、まだ春休み全開の娘がのんびりとタブレットを眺めていた。


「さて、この隙に入学式の準備をしちゃうかね」


 算数セットや粘土などの重たいものは、入学式に親が持ってきてくださいと指示があったのだ。記名したそれらをまとめて、娘の当日の服と自分のスーツも取りだしておく。寒くないといいなぁ、当日……(フラグ)


 そうしてあっという間にお迎えの時間。娘も一緒に行くというので、二人で車を走らせ迎えに向かった。

 迎えは門ではなく教室の前までということで、わたしと娘が入っていくと、すぐに○市が年中の教室から出てきた。どうやらゆり組になった様子。


「お世話になりますー! ○市君、今日一日とってもがんばっていましたよ!」


 と息子に続いて出てきたのは、年少からの持ち上がりの先生で、○子の年少時の副担任をしてくださったY先生だった。


「ゆり組の担任になりました! 一年間よろしくお願いします!」

「こちらこそよろしくお願いします~!」


 ――くじで言うなら当たりを引いた気分~! 担任ガチャなんて言葉があるけど、この場合は当たりだわ。Y先生ならいいなぁと思っていたけど本当にそうなるとは!


「○子ちゃんも久しぶり~! なんだか一ヶ月ぶりくらいなのに大きくなったね?」


 とY先生。すると今度は年少さんのクラスから、○子の年中・年長時の担任のK先生まで出てきてくださって「○子ちゃあああん! 元気だったー!?」と速効駆けつけてくれた。


(卒園後もこうやって歓迎してくれる幼稚園の雰囲気やばいな……しゅき……)


 おかげさまで久々にほんわかした気分で帰路につくことができたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る