2020年3月16日(月)-4

 感動的ムービーが終わり、ようやく開式。厳かな音楽とともに、袴姿の先生が入り口で一礼して、受け持ちの園児を引きつれて入場。

 2クラスあるので、娘がいる組が向かって右側に、もうひと組が左側にそれぞれ着座。


 ちゃんと先生について歩いて自分の席におとなしく腰かける園児たち……偉い。

 仏教系の幼稚園なので、開式する前に壇上に置かれた祭壇みたいななにかに、お花を上げて水をやって~みたいなことをして、蝋燭に火も灯した上で、ようやくはじまりとなった。


 予行で一番練習したらしい卒業証書の授与は、園児たちが自分たちの番がきたら一列ごとに立ち上がり、四人ごとに壇上に登り、名前を呼ばれたら返事をして、右手、左手の順番で受け取り~……という感じだ。

 ほぼ練習できなかったであろうに、毎日きていた子がきれいに行っているのを見て、次の子もできるようになる、みたいないい連鎖ができていました。


 証書を受け取ったあとは「いち、に、さん」と園児本人が声に出して言いながら身体の向きを変え、正面の階段を降りてきて、証書を先生に渡して席に戻るという流れ。

 たった六歳の園児がそれをきちんとこなしているのすごいなぁ~……と感動よりも感心しきりという感じ。


 ――そしていよいよ○子の番がきたわ! とスマホのカメラを起動したところで、


「ママ……トイレ行きたい」


 と息子がぼそっとささやいてきた。


(ちょおおおお! いつかくると思ったけれどもこのタイミングでー!)


 夫と目配せして、とりあえず夫が息子を抱えて出て行くことになり、わたしが娘の雄姿を録画したわけですが。


(正直わたしのアンドロードちゃんより、夫のアイフォーンちゃんのほうが、きれいな画質で撮れた気がする……)


 後悔してももう遅い。

 せっかくの娘の晴れの姿を微妙な気持ちで見つめる母の気持ちなどつゆ知らず、無事に証書を授与された娘は席に戻ったのであった。


 とりあえず転んだりせずに、ぎこちないながらもきちんとできたからよかったわ。こういうのを見守るの、親のほうが緊張してしまう。


 ちなみに娘の卒業証書授与の姿が見られなくて、夫はそれなりに落ち込んでいた様子。

 すべては息子の膀胱が未熟なばかりに。


 アーメン(ここ仏教系の幼稚園だけど)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る