ちょっと世界を救ってきた

さわさわとそよ風が吹き、木々の間からキラキラと太陽の光が見える。

久しぶりに広場に行けば、いつものように仲間が集まっていた。

「よっ、久しぶり」

私が彼らに声をかければ、集まっていた仲間が振り返り、こちらに駆け寄ってくる。

「久しぶり!」

「なんで来なかったの?」

「どこ行ってたの?」

年下の仲間は口々に問う。

親友は困った顔でこちらを見ていた。風邪で寝込んでたの話してなかったんだな。

さて、ホントのことを言うと心配されるだろう。

「あー、ちょっと世界救ってきたんだよ」

私はめんどくさそうに言う。

親友が笑い堪えているのが見えた。私は親友にオマエが笑ったら台無しになるからなと、目で訴えた。

「えーっ!?」

「どうやって? どうやって?」

「絶対にウソでしょ」

年下組は三者三様の反応をしている。

どうやって、世界を救ったか......。ヤバイ、考えてなかった。このまま話をうやむやにして逃げてもいいが、ウソだとバレるだろう。

私は3人の反応をみて考えていると、

「ねえ本当はなにしてたんだよ?」

先程ウソだと言ってきた仲間が尋ねた。

「だからホントだって。先週急に違う世界に飛ばされたの。飛ばされた先で魔王と戦ってきた」

「どうやって?」

一番年下の仲間は目をキラキラさせて問う。

「......それ聞いてくる?」

「うん!」

「運動苦手なのにできたの?」

仲間は私を疑う目でみている。

考えろ考えろ。頭をフル回転させ魔王を倒した手段を考えた。

私ならできる魔王の倒しかた......うーん。

「その世界の魔法は敵を笑わせること。ようはギャグだったんだ」

私は真面目な顔で言った。

「えっ」

「ゲッホゴッホゴッホ」

年下の3人は目を丸くし、親友が笑うのを我慢しすぎて咳き込んだ。

「味方にも攻撃入ってないかな?」

「だよな」

「すごーい!!」

よし、普段からいい加減なこと言っててよかった。

「で、私が世界救ってた間、何をやっていたか教えてくれ」

「うん!」

「わかった!」

「こっち来て!」

3人は私を広場の奥へと引っ張っていき、その後ろで親友が困ったように笑い歩いていた。

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かわいいお話 文野志暢 @a492

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