覗き見の楽しさ

@rasutodannsu

第1話

覗き見の楽しさ


 初めて書いた小説は、イケメンでやり手の青年が、なぜか、外見も中身も残念な少年の世話を焼いてしまうという話でした。

書いたのは30年も前のことで、まだ、ボーイズラブ小説が広く知られていなかった時代だったような気がします。

昔から、同性愛の物語はありましたが、私は読んだことがありませんでした。

ですから、自分が書いている物語が、ボーイズラブ小説であるという意識はなかったのです。書き終えて、友人に読んでもらったら「これって、同性愛の話でしょ。あなた、そういう趣味があったの?」と言われ、驚いたわけです。

その後も、若い女性より青年を主人公にしたほうがすらすらと書けることに気がつきました。

読むほうは、主人公が男性でも女性でもよかったのですが。


 その後も、ぼつぼつと、ボーイズラブ小説を書いてきました。男女の恋愛は、子どもができたとか、結婚とか、ロマンスだけではすまされない事柄がからんできます。ボーイズラブの場合は、友情や恋愛が比較的純粋な形で書けるという点が自分の好みなのだろうと、自己分析していました。

 

 先日、法医学専攻の医師が故郷に帰ってきて事件に巻き込まれるという、タイのドラマを観ました。帰郷して監察医として働く青年医師と裏の顔を持つ塾講師が、悪事を働く村の権力者と闘うという物語なのですが、青年二人は愛し合っているという設定でした。

観終わった時、私にとってのボーイズラブというのは、覗き見の楽しさなのではないかと気がついたのです。

男女の恋愛ドラマの場合は、女性である自分の感覚が刺激されるけれど、男性同士の恋愛は、完全に他者同士の絡みであり、客観的に鑑賞できるような気がします。


 以前、小説の書き方のコツとして、自分からなるべく遠い話を書くとよいというアドバイスを受けたことがありました。そのこととも併せて、なるほどと思ったのです。


 これは、私の、自分とボーイズラブについての考えを述べたものであり、他の方々はまた、それぞれに、ご意見が異なることでしょう。                          完

                           

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