違い

「分からんな。分からん。なんの区別なんだ?」


「いや、俺は分かった」


「え。まじで」


「セックスしたことがあるかないか、だ」


「は?」


「こっちがセックスしたことのある人の括りで、こっちがセックスしたことのない人間」


「なんで分かるんだ?」


「いやまあ、俺のは特殊能力みたいなものだから。気にしないで」


「へえ」


「外側が女で内側が男だからかな、やっぱ」


「ぜんぜん見えない」


「男でも男抱けるからね。意外と曖昧だよそこら辺は」


「そっちのがプリミティブなのかもな」


「あんたも中身は女でしょ?」


「俺は女が恋愛対象だ」


「でも私とはセックスできる」


「あ」


「あんたは中身ではなくて外側が女なら愛せる」


「だめなやつか?」


「逆だよ」


「逆?」


「外側で愛せるのはとてもよい。だって内面でどうこうがないじゃん。見てくれだけでいい。これだけ素晴らしいことはないよ」


「そっか」

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