哲学魔王の【辞書】

２５．事故 〜より

２５．前節／中節／後節

　　　　◆◆◆ 前節 ◆◆◆

━─━─ № 25-1 (2,588) ─━─━

　　〖しちめんどう〗〖ひちめんどう〗（名容詞）

【甚（し）ち面（めん）倒（どう）】【甚（ひ）ち面（めん）倒（どう）】⚠⛏　 #2,618

　〈ひどく煩（わづら）わしいさま〉の意。

　「しち」「ひち」は江（え）戸（ど）時代あたりで登場してきた〈強調を表す接頭辞〉とされるが語源不明であり、ならば強いて漢字を当てるとするならこうではないか、との表記を提案するもの。

【七（しち）面（めん）倒（どう）】✗　 #2,619

　いくら何でもこれは無いだろう。

━─━─ № 25-3 (2,590) ─━─━

　　〖ほのお〗（名詞）

【焔（ほのお）】⚠　 #2,620

　〈燃えている火の熱と光が出ている部分〉の意。

　組成は〔火（ほ）の尾（お）〕。

【炎（ほのお）】✗　 #2,621

　字義不相応のため遣うことを推（すい）奨（しょう）しない。

　〔炎〕は〈焼けるように熱いさま〉の意であり、ゆえに「炎天」「炎（えん）症（しょう）」などと云（い）う。

━─━─ № 25-5 (2,592) ─━─━

　　〖ちぐはぐ〗（名容詞）

【齟齬然（ちぐはぐ）】⚠　 #2,622

　〈くい違いや不調和がみられるさま〉の意。

【鎮（ち）具（ぐ）破（は）具（ぐ）】✗　 #2,623

　語義不相応のため遣うことを推（すい）奨（しょう）しない。

　この表記では〈打ちつける道具と剥（は）ぎとる道具の組み〉のような意となる。

　［齟齬然（ちぐはぐ）］の組成であるが、この表記では「彼（あ）方（ち）此（こ）方（ち）」同様に〈整合性に欠ける〉の意味合いを含まない。

　　　　◆◆◆ 中節 ◆◆◆

━─━─ № 25-7 (2,594) ─━─━

　　〖とてもせいみつなはかり〗⛏（名容詞）

【迚（と）ても精（せい）密（みつ）な計（はかり）】⚠⛏　 #2,624

　〈とても精密な計〉の意。

　たとえば重量計では円盤式目盛りがよく用いられるが、この表示盤を巨大にして指針を長大にすれば、同じ指針変化角でより長い距離の目盛りを振れるため、変動を観測しやすくなる。

━─━─ № 25-9 (2,596) ─━─━

　　〖せいぜつ〗（名容詞）

【凄（せい）絶（ぜつ）】⚠　 #2,625

　〈想像を絶するほど凄（すさ）まじく〉の意。

━─━─ № 25-11 (2,598) ─━─━

　　〖やまあい〗〖さんかん〗（名詞）

【山（やま）間（あい）】【山（さん）間（かん）】⚠　 #2,626

　〈山と山との間〉の意。

　「山（やま）峡（がい）」「山（さん）峡（きょう）」と書いて同義。

　｛やまあい｝と読ませたい場合でも｛さんかん｝と読まれてしまう傾向があるが、どちらでも意味は変わらないからあんまり気にしないようにしたい。

【山（やま）合（あ）い】✗　 #2,627

　語義不相応のため遣うことを推（すい）奨（しょう）しない。

　この表記では〈山（さん）麓（ろく）が適合する（⁉）〉のような意となる。

━─━─ № 25-13 (2,600) ─━─━

　　〖つんざく〗（カ五段動詞）

【劈（つんざ）く】⚠　 #2,628

　〈激しい勢いで裂（さ）く〉の意。

　原語は〔衝（つ）き裂（さ）く〕。

　大きな音で耳を傷（いた）めることを〝耳を劈（つんざ）く〟と云（い）うことから誤解されがちだが、当該語自体は耳まわりに関する意味合いは持たず、その場合には「耳を」のような修飾が必要になる。

　　　　◆◆◆ 後節 ◆◆◆

━─━─ № 25-15 (2,602) ─━─━

　　〖けたたましい〗（形容詞）

【消魂（けたたましい）如（し）い】⚯⛏　 #2,629

　〈びっくりするような騒々しい音にみまわれるさま〉の意。

　語源は〈おどろかされる〉の意の〔魂（たま）消（げ）る〕であるが、そのまま読むなら｛消（け）魂（たま）しい｝になるはずで、ほか「居怺（いたたま）ら（れ）ない」などもそうだがどうしてこうなった。

━─━─ № 25-17 (2,604) ─━─━

　　〖ひとや〗（名詞）

【牢（ひとや）】【獄（ひとや）】⚠　 #2,630

　〈罪人を押しこめておく建物〉の意。

　組成は〔人（ひと）屋（や）〕。

━─━─ № 25-19 (2,606) ─━─━

　　〖そち〗（サ変名詞）

【措（そ）施（ち）】⚠⛏　 #2,631

　〈状況に応じて必要な手続きをとること〉の意。

【措（そ）置（ち）】✗　 #2,632

　語義不相応のため遣うことを推（すい）奨（しょう）しない。

　この表記では〈決め事を設置する（⁉）〉のような意となる。

　〔措〕の字義が〈手続き〉転じて〈決め事〉であり物理に属さない一方、〔置〕の字義は〈場所〉転じて〈その場所にある〉であるため互いに沿（そ）支（ぐ）わない。

━─━─ № 25-21 (2,608) ─━─━

　　〖べんしぢいし〗〖べんししし〗（サ変名容詞）

【眄（べん）視（し）指（ぢい）使（し）】【眄（べん）視（し）指（し）使（し）】⚠　 #2,633

　〈他人を直視もせぬような見下した態度で尊大に指図をすること〉の意。

　〔眄（べん）視（し）〕は〈顔の向きを変えずに目だけで横を見ること〉、〔指（し）使（し）〕は〈横柄にも指しゆびで要求を言いつけること〉の意。

　一般には｛眄（べん）視（し）指（し）使（し）｝のほうで読まれるが、非常に発音しづらく完全に早口詞（ことば）の部類であり、一方で漢語においては基本的に一字一音節で、当該語も｛眄（ミィェン）視（シー）指（ヂー）使（シー）｝と発音されるもので、日本語的な見方で｛ー（長音）｝が入る形となるため特に発音しづらくはない。

━─━─ № 25-23 (2,610) ─━─━

　　〖こがれる〗（ラ下一段動詞）

【悁（こが）れる】⚠⛏　 #2,634

　〈切望に囚（とら）われて怺（こら）えれなくなる〉の意。

　組成は〈欲し懸（が）り状態を得る〉の意の〔戀（こ）懸（が）り得（え）る〕。

【焦（こ）がれる】✗　 #2,635

　字義不相応のため遣うことを推（すい）奨（しょう）しない。

━─━─ № 25-25 (2,612) ─━─━

　　〖だかつ〗（名詞）

【蛇（だ）蝎（かつ）】⚠　 #2,636

　〈蛇（へび）や蝎（さそり）のように人には生理的に受けつけれない気持ち悪い生き物〉の意。

　生理的に受けつけないのは、原始時代に人が外敵を避けるため木の上で寝起きしていたところ、こいつらは木の上まで平気で登ってきて散々苦しめ続けてくれたため、恐怖心がＤＮＡレベルで植え付けられていることに起因するもの。

　「虫（むし）」とはそういった生き物の総称であり、だから蛇（へび）も「爬（は）虫（ちゅう）類（るい）」と呼ばれ、そして「真（ま）蟲（むし）」と呼ばれる蛇（へび）こそ現存する王（おう）蟲（む）である。

━─━─ № 25-27 (2,614) ─━─━

　　〖まかつ〗（名詞）

【磨（ま）羯（かつ）】⚠　 #2,637

　〈磨（す）り減った去勢羊のごとき異形の生き物〉の意。

　言葉的にちょっとセンスわからない（）けれど、毛を剃（そ）り落とした羊の姿は確かにヌラリとしていてギョッとさせられる異形ではある。

━─━─ № 25-29 (2,616) ─━─━

　　〖だかつまかつ〗（名詞）

【蛇（だ）蝎（かつ）磨（ま）羯（かつ）】⚠　 #2,638

　〈得も云（い）われぬほど悍（おぞ）ましき怪物〉の意。