哲学魔王の【辞書】

１２．研究 ～より

１２．前節

━─━─ № 12-1 (1,770) ─━─━

　　〖かたづける〗〖かたをつける〗（カ下一段動詞）

【形（かた）付（づ）ける】【形（かた）を付（つ）ける】　 #1,977

　〈物事に秩（ちつ）序（じょ）を与える〉〈形式を取り決める〉の意。

【形（かた）着（づ）ける】【形（かた）を着（つ）ける】　 #1,978

　〈物を整（せい）頓（とん）する〉〈事柄の後始末をする〉の意。

　こちらの意味で［形（かた）付（づ）ける］［形（かた）を付（つ）ける］と表記するのは字義不相応。

【片（かた）付（づ）ける】【片（かた）を付（つ）ける】✗　 #1,979

　語義不相応のため遣うことを推（すい）奨（しょう）しない。

　この表記では〈半端なものを付与する（⁉）〉のような意となる。

━─━─ № 12-3 (1,772) ─━─━

　　〖そうてい〗（名詞）

【装（そう）幀（てい）】⚠　 #1,980

　〈本綴（と）じの方式や意匠〉の意。

【装（そう）丁（てい）】⚠　 #1,981

　〈装（そう）幀（てい）を基準に合わせて揃（そろ）える〉の意。

━─━─ № 12-5 (1,774) ─━─━

　　〖ずらり〗〖ずらずら〗（名容詞）

【随（ずら）り】【随（ずら）々（ずら）】⚠⛏　 #1,982

　〈沢山のものが列になって並ぶさま〉の意。

━─━─ № 12-7 (1,776) ─━─━

　　〖ぎっしり〗〖ぎしぎし〗（名容詞）

【緊（ぎっし）り】【緊（ぎし）々（ぎし）】⚠⛏　 #1,983

　〈中身が隙（すき）間（ま）なく目一杯であるさま〉の意。

━─━─ № 12-9 (1,778) ─━─━

　　〖きじょう〗（名詞）

【机（き）上（じょう）】⚠　 #1,984

　〈机の上〉の意。

　机（き）上（じょう）デバッグはもういやじゃああぁぁあ（

━─━─ № 12-11 (1,780) ─━─━

　　〖ちょこなんと〗〖ちょこねんと〗〖つくねんと〗（副詞）

【些（ちょ）乎（こ）然（なん）と〗〖些（ちょ）乎（こ）然（ねん）と】【些（つ）乎（く）然（ねん）と】⚠⛏　 #1,985

　〈小さく縮こまりながら畏（かしこ）まって佇（たたず）むさま〉の意。

━─━─ № 12-13 (1,782) ─━─━

　　〖ししょ〗（名詞）

【司（し）書（しょ）】⚠⛏　 #1,986

　〈書館において図書の保存や整理や閲覧に関する事務を取り扱う職〉の意。

　日本国では国家資格として掟（さだ）められる。

　ちなみに、異世界における司書は〝１（いっ）．（てん）２（にー）１（いち）Ｚ（ジゴ）Ｂ（ワット）〟の記憶容量を誇る頭脳の持ち主なんだぜ（

━─━─ № 12-15 (1,784) ─━─━

　　〖ぜひ〗（副詞的名詞）

【暃（ぜひ）】⚠⛏　 #1,987

　〈肯（こう）定（てい）か否定かの判断〉の意。

　転じて〈｟「暃（ぜひ）ともなく」の省略形として｠是（ぜ）か非（ひ）かという観点に囚（とら）われずに〉〈予断をせずに〉の意。

　原語は〔是（ぜ）非（ひ）〕であり、一方〔暃〕は幽霊文字であって意味も発音もはっきりしないが、なんとなく字形から当てはめてみるテスト。

━─━─ № 12-17 (1,786) ─━─━

　　〖たるい〗〖だるい〗（形容助詞）

【怠（たる）い】【怠（だる）い】⚠⛏　 #1,988

　〈嫌（いや）気（け）が差す〉〈具合が悪い〉の意。

　「タルい」との言い方から、［怠（だる）い］が正式で［怠（たる）い］は崩してあると思われがちだが逆であり、［怠（だる）い］ほうが［怠（たる）い］の音便ないし濁音減価である。

━─━─ № 12-19 (1,788) ─━─━

　　〖けぶる〗〖けむる〗（ラ五段動詞）

【烟（けぶ）る】【烟（けむ）る】⚠⛏　 #1,989

　〈煙が立ちのぼる〉〈煙が充（じゅう）満（まん）する〉〈煙でかすむ〉の意。

　単純に〔煙〕は〔烟〕の異字体であるが、前者を〈煙そのもの〉、後者を〈煙によって起きること〉という遣い分けをしてみたくなる病気を「中（ちゅう）二（に）病（びょう）」と呼ぶ。

　なおマ行は濁点化するとバ行に転じるもの。

━─━─ № 12-21 (1,790) ─━─━

　　〖いと〗（名詞）

【線（いと）】⚠⛏　 #1,990

　〈繊（せん）維（い）を縒（よ）り合わせて細長い形状にしたもの〉の意。

　転じて〈一本の線（いと）のように細長い筋（すじ）〉の意。

【糸（いと）】　 #1,991

　〈純（きいと）〉〈絹（きぬ）線（いと）〉の意。

　｛糸（ヴェキ）｝｛糸（ミィ）｝は〈紡（ぼう）織（しょく）の部類である事を示す部首〉であって、単漢字として存在するものではなく、日本語の「糸（いと）」は漢語的には〔線（シィェン）：繁字〕〔綫（シィェン）：簡字〕と云（い）うもので、日本語としても｛線（いと）｝｛綫（いと）｝という読みが残っており、そういう意味では〔糸（いと）〕は国字と云（い）えなくもない。

【幺（いと）】⚠⛏　 #1,992

　〈線（いと）端（はし）〉の意。

　転じて〈幼い〉〈小さい〉の意。

【絲（いと）】⚠⛏　 #1,993

　〈線（いと）束（たば）〉の意。

【緡（いと）】⚠　 #1,994

　〈釣（つ）り線（いと）〉の意。

【縷（いと）】⚠　 #1,995

　〈細かい線（いと）〉の意。

　転じて〈今にも切れそうな頼りない線（いと）〉〈ぼろ〉の意。

　｛ぼろ｝は〔幌（ほろ）〕の濁音減価。

━─━─ № 12-23 (1,792) ─━─━

　　〖いとすぎ〗（名詞）

【線（いと）杉（すぎ）】⚠⛏　 #1,996

　〈線状の葉を持つ檜（ひのき）の品種〉の意。

　別名「西（せい）洋（よう）檜（ひのき）」であり、枝が広がらず扱いやすいため園芸用としてよく愛用され、それを原料とした香も販売されている。

　ちなみに、真っ直（す）ぐである事から〔直（す）木（ぎ）〕が「杉（すぎ）」の、火おこしの錐（きり）揉（も）み棒に用いられた事から〔火（ひ）の木（き）〕が「檜（ひのき）」の、それぞれ組成とされる。

【糸（いと）杉（すぎ）】✗　 #1,997

　字義不相応のため遣うことを推（すい）奨（しょう）しない。

　〔糸〕に〈線状〉という形容的な意は無い。

　あとこの表記だと個人的に、糸井○里氏を思い出してしまうので困る。

━─━─ № 12-25 (1,794) ─━─━

　　〖りゅうのう〗（名詞）

【龍（りゅう）脳（のう）】⚠　 #1,998

　〈龍（りゅう）脳（のう）樹（じゅ）から得た香料〉の意。

　［龍（りゅう）脳（のう）］の語源が全然見当たらないアレ。マジわかんね。

　一説には〝その芳香が神秘的であることから、同じく神秘的である龍が連想された〟との事らしく。

　産地にちなんで「borneol（ボルネオール）」とも呼ばれ、香料としてのほか、虫干しとしても用いられる。

　虫干しと言うと、ほか「楠（くすのき）（樟（くすのき））」から得られる「樟（しょう）脳（のう）」が挙がるが、龍（りゅう）脳（のう）の芳香はそれよりも柔らかさがあって上等だとされる。

　樟（しょう）脳（のう）はオランダ語で「kamfer（カンファー）」で、かつて強心剤として用いられていたため「カンフル剤」との言葉が存在し、それが「楠（くすのき）」が〔薬（くす）の木（き）〕を組成とする故（ゆえ）味（ん）でもあるが、最近ではその用途においてほとんど遣われないらしい。

　現今（こんにち）の防虫剤としては化学物質の「para（パラ）-di（ジ）-chloro（クロロ）-benzene（ベンゼン）」がよく用いられ、これもまた「樟（しょう）脳（のう）」と呼ばれるが、「1,7,7-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-オン（ちょっと何言ってるかわからない）」たる樟（しょう）脳（のう）とは全然別の物質。

　ほんと混同好きねえ。

━─━─ № 12-27 (1,796) ─━─━

　　〖したためる〗（マ下一段動詞）

【認（した）ためる】⚠　 #1,999

　〈手順をよく確かめながら処理する〉の意。

　転じて〈文章をよく確かめながら書き記（しる）す〉〈食事をよく確かめながら味わう〉〈支度をよく確かめながら調（ととの）える〉の意。

　組成は〔聢（した）々（た）める〕。

　語義的には〈よく確認して行なう〉だが、一般には〝筆記の場合〟について特に云（い）う。

【認（したた）める】⚠✗　 #2,000

　同形異義語が存在するので遣うことを推（すい）奨（しょう）しない。

　〝認（したた）める：認（みと）める〟など。

━─━─ № 12-29 (1,798) ─━─━

　　〖だいがえ〗（サ変名詞）

【代（だい）替（がえ）】⚠　 #2,001

　〈代（だい）替（たい）〉の意。

　「大（だい）体（たい）」との混同を避けるために考案された読み、らしい。

━─━─ № 12-31 (1,800) ─━─━

　　〖へいたん〗（サ変名詞）

【兵（へい）站（たん）】⚠　 #2,002

　〈兵役のうち伝達や運搬などの後方支援にあたる役〉の意。

　「站（えき）」は「駅（えき）」とほぼ同義で、駅から駅への伝送（駅伝）をおこなう戦略上で最重要とすらされる役目。

　実際にこなすべき作業が割と単純、かつ裏方の雑用っぽくて退屈なので、担当者に臍（へそ）を曲げられがち手を抜かれがちの、なんかそういう難儀なやつ。

　英語では「logistics（ロジスティクス）〈後方支援〉」と云（い）い、これを略した「ロジ」が〈会議の進行役〉の意で云（い）わﾑｯｷｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨｨ≪突然の発狂≫

　ちゃうねん！　進行役は「chairman（チェアマン）（司会）」だし！

　「後方支援（ロジ）」は会場手配とかを担当するやつだからそもそも会議には直接参加しないし！

　たぶん言わんとしてるその役目って、「coordinator（コーディネーター）〈調整役〉」か「joker（ジョーカー）〈冗談を言う人〉」のどっちかだろおおぉぉお‼

　……はい（

　カタカナの「ビジネス用語（）」の大半は「slang（スラング）〈俗語〉」であって「business（ビジネス）　terminology（ターミノロジー）〈ビジネス用語〉」じゃないからな、英語としてもほぼ通じないやつだから気をつけろ！

　ちなみに「joker（ジョーカー）」というのが至極強烈な役割で、「jester（ジェスター）〈宮廷道化師〉」とも云（い）うけれども、〝何を言っても発言したと認められない代わりにどれだけ耳の痛い事を言っても咎（とが）められない〟という役、つまりそれによって会議を本当に進むべき方向へ導くという〈乱暴な調整役〉のこと。

　カードゲーム「Trump（トランプ）」で「joker（ジョーカー）」が最強のワイルドカードになってるのはそれが理由ね、「king（キング）（王様）」よりも強かったりするでしょ。

━─━─ № 12-33 (1,802) ─━─━

　　〖くらくら〗（サ変名容詞）

【眩（くら）々（くら）】⚠　 #2,003

　〈眩（めまい）がするさま〉の意。

━─━─ № 12-35 (1,804) ─━─━

　　〖しゅうちん〗⛏（サ変名詞）

【収（しゅう）鎮（ちん）】⚠⛏　 #2,004

　〈騒乱を鎮めて収拾をはかること〉の意。

━─━─ № 12-37 (1,806) ─━─━

　　〖たいふう〗（名詞）

【颱（たいふう）】⚠　 #2,005

　〈typhoon（タイフーン）〉〈台（たい）風（ふう）〉の意。

　実はこれは外来語で、［颱（たいふう）］［台（たい）風（ふう）］は当て字。

　｛やまじ｝と呼ばれる事もあるが、発生機序が台風と異なるため「山風（やまじ）」「颪（やまじ）」「颪（おろし）」と表記して混同を避けられたい。

━─━─ № 12-39 (1,808) ─━─━

　　〖ひんらん〗⛏（サ変名詞）

【頻（ひん）濫（らん）】⚠⛏　 #2,006

　〈頻（ひん）繁（ぱん）に氾（はん）濫（らん）している〉の意。

━─━─ № 12-41 (1,810) ─━─━

　　〖せがえ〗（サ変名詞）

【瀬（せ）替（がえ）】⚠　 #2,007

　〈ある川の水を別の川へ誘導したり放水路を設けるなどして氾（はん）濫（らん）を抑える大規模治水工事〉の意。

　東京都東側を流れてる荒川放水路、河口の川幅とか木（き）曽（そ）三（さん）川（せん）クラスだけど、施工当時に重機なんか無かったから当然全部手掘りだし、なんなら関東大震災も起きたし、ついでに巨大台風もきちゃったし、極めつけには第弌（いち）次世界大戦まで勃（ぼっ）発（ぱつ）しちゃったりしてたから、自分が当時のその現場責任者じゃなくて本当によかったって心底思うわ。

　踏んだり蹴（け）ったりにも程があるって。

━─━─ № 12-43 (1,812) ─━─━

　　〖しんち〗（名詞）

【新（しん）地（ち）】⚠　 #2,008

　〈新規開発途中の土地〉〈新規開発したばかりの土地〉の意。

━─━─ № 12-45 (1,814) ─━─━

　　〖よせろん〗〖よろん〗〖せろん〗（名詞）

【輿（よ）世（せ）論（ろん）】⚠　 #2,009

　〈輿（よ）論（ろん）と世（せ）論（ろん）の総称〉の意。

【世（せ）論（ろん）】⚠　 #2,010

　〈感情の吐露〉の意。

　転じて〈願望〉〈要望〉の意。

【輿（よ）論（ろん）】⚠　 #2,011

　〈十全な意見〉の意。

　転じて〈計画の提案〉の意。

　本来、〈十全な意見〉の意の「輿（よ）論（ろん）」のみが政治には採用され、ただの〈感情の吐露〉の意の「世（せ）論（ろん）」はそもそも採用するべくもなかったものが、〔輿〕が常用外漢字と掟（さだ）められて「世（よ）論（ろん）」「世（せ）論（ろん）」と統合されたせいで混同が起こり、採用されるべきでない世（せ）論（ろん）が世（よ）論（ろん）として政治に取り入れられる事になってしまい、その結果としてグダグダなう。

　文字の取り扱いひとつで政治のあり方まで変わってしまった悪例。

【世（よ）論（ろん）】✗　 #2,012

　一般的な表記であるが、「世（よ）論（ろん）：世（せ）論（ろん）」などの同形異義語が存在するので遣うことを推（すい）奨（しょう）しない。

━─━─ № 12-47 (1,816) ─━─━

　　〖えんもくよてい〗（名詞）

【演（えん）目（もく）予（よ）定（てい）】⚠　 #2,013

　〈催し物においてそれに沿って進行させる段取り〉の意。

　英語では「program（プログラム）」となり、これは必ずしもcomputer（コンピュータ）program（プログラム）だけを指すものではなく、音楽の演奏データ、科白（せりふ）や照明や映像などの動きを掟（さだ）める脚本、漫画の齣（こま）割りなど、〈順次操作のかかわる為（し）込（こ）み作業〉全般を指して「programing（プログラミング）」と呼ぶもの。

　音楽データの打ち込み作業について、ほかでもないcomputer（コンピュータ）programer（プログラマ）が〝あんなもんプログラミングじゃねえ〟とかトガってたのを見掛けて〝あっはい〟させられた経験ならボクに任せて。

━─━─ № 12-49 (1,818) ─━─━

　　〖みとむ〗（ラ四段動詞）

【認（みと）む】⚠⛏　 #2,014

　〈目にとめる〉〈それで確かだと見てとる〉の意。

　組成は〔識（み）留（と）む〕。

　「認（みと）める」の文語表現であり、「認（みと）むる」は当該語の連体形である。