第2話

第一印象は、冷たい。ひたすらに冷たい。

クールなんてもんじゃない。必要最低限のことしか話さず、反応が薄い。私が話しかけても、無視とか「ああ」とか「うん」とか、一言一言が短い!

顔はかっこいいのにもったいない。

友達にもよく、かっこいいとか、話しかけてもいいかな?とか言われることが多い。私はそんな会話を笑って受け流す。


入学式から2週間が経とうとしていたある日、私は昼休みにふと、あいつのことを思い出した。

(毎日どこに行っているのだろう?)

校舎を歩き回っていると、屋上まで来てしまった。

そのままUターンしようした時、屋上へと繋がる扉が少し開いていることに気がついた。私は好奇心から外へ飛び出した。

(学校の屋上なんて初めてだ!)

そこでふと、目の端に人影が映った。

「あ!こんなとこにいたんだー!」

そこには驚いた顔をした山田蒼がいた。

「え、なんで、」

彼は明らかに嫌そうな顔をしながらそう呟いた。

「私もこれからここ来よーっと」

そうして私たちは毎日、屋上で昼休みを過ごすようになった。


「初めは僕の楽園だったのに…」

彼がふと、呟いた。私は怒ったように頬をふくらませた。

「別にいいじゃん!ひとりじゃ寂しいでしょ?」

彼は少し笑った。最近よく笑顔を見せてくれる。

「君はひとりじゃないでしょ。いつも誰かが一緒にいる。僕の席まで使ってね。」

「あ、もしかして、それが嫌で屋上まで来てたとか...?」

「まあね。初めは困ってた。でも、今はここを見つけられて、よかったと思ってるよ。」

彼は淡々とそう告げた。

初めは冷たいやつだと思った。でも、彼の中にある優しさに触れて、見方が少し変わった。

彼の目には私はどう映っているのだろうか。

そう思って彼を見ると、本を片手に眠っていた。





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