「弊社でやりたい仕事はなんですか?」

Kさん

第1話「やりたい仕事なんてありません。」

弊社としても慎重に選考を重ねましたが、誠に残念ながら今後の選考を見送らせていただきます。佐藤さんの今度のご活躍を心よりお祈り申し上げます。


「またか、」


この言葉を見たのは何度目だろうか。


俺は・・・


いい加減にしてくれと思い続けている。


いったい俺の何が不満だっただろうか。


そんなことすらも企業は教えてくれない。


「本当に淡々としているな。」


最近は専用サイトでのメールのやり取りが企業との主な連絡手段だ。

そのせいなのか、電話と違い緊張感というものがない。


・・・例え、それが第一志望だとしても、だ


「さて、これからどうしたもんかな。」




第一志望に落ちた。ただそれだけだ。本当にただそれだけのこと。




ずっと旅行会社に入りたかった。



だが、新型ウイルスの影響でこの業界の状況は火の海だ。


その上でコストがかかる新卒採用など、企業からしたらもってのほかだろう。


そのおかげで俺の“やりたかった仕事”をするための挑戦権が剥奪された。




・・・これが現実だ





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