第29話
「これが依頼金です。白金貨10枚ですね。昨夜のお代は古龍の素材代から引いておきます。それで古龍の素材代についてなのですが……」
僕とアレーヌは朝イチに冒険者ギルドに訪れ、古龍討伐の依頼金を貰いに来ていた。
受付嬢さんから厳重な袋に入った白金貨を受け取る。
ちなみに他の冒険者たちは二日酔いで潰れている。
「あぁ。ちょっと待ってください」
僕は受付嬢さんの言葉を遮る。
「はい?何でしょうか?」
「古龍の素材全部あげます。この領地の発展に役立てください。これは我ら騎士団の汚点の払拭ですから」
僕は適当なことを言って古龍の素材を押し付ける。
ぶっちゃけ古龍の素材とか貰っても困るし、売ったたとしてもお金になるのに時間がかかるだろう。そんな面倒なこと待っていたくないし、そんなことを気にしていたくもない。
「なっ……い、良いんですか!?」
受付嬢さんが僕の言葉に驚愕する。
「えぇ」
僕は受付嬢さんの言葉を肯定する。
白金貨10枚。それはかなり価値があるものだ。
この世界の通貨は、一番価値の無いものが鉄貨。
そして、その鉄貨100枚分の価値がある銅貨。
銅貨10枚分の価値がある銀貨。
銀貨100枚分の価値がある金貨。
最後に金貨100枚分の価値があるのが白金貨。
日本円に表すのなら、
鉄貨=10円。
銅貨=1000円。
銀貨=10000円。
金貨=1000000円
白金貨=100000000円。
白金貨。一枚その額驚愕の1億円。
基本的には大商人、王族貴族、国家間のお金のやり取りのみに使われるとんでもない通貨だ。
僕らが貰ったのは白金貨10枚なので合計10億円分。
それ以上のお金なんて貰ったって困る。10億円で十分。十分すぎるくらいだ。金貨一枚で四人家族の平民が何不自由なく生きていけるんだぞ……。一体僕とアレーヌが何年生きているだけあるというのだ。
「そういうことでよろしくおねがいしますね」
僕は受付嬢さんに笑顔でそう告げ、少し遠くで掲示板を眺めているアレーヌの元へと向かった。
これ以上受付嬢さんと話すつもりはない。
ぽかんと呆然している受付嬢さんを置いていく。
「依頼金を貰ってきたよ。アレーヌ」
「うむ」
掲示板を見ていたアレーヌの視線が僕の方へと戻ってくる。
「何か良い依頼あった?個人的には遥か古代の超文明の遺跡とか、古くから存在する世界最高峰の蔵書数を誇る大陸図書館とかに行ってみたいんだけど」
「……うむ。そうだな」
僕とアレーヌが並び立ち、ともに掲示板を眺めた。
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