炎上するプライドまとめ

エリー.ファー

炎上するプライドまとめ

 プライド守って三千年、小さいことは気にしない。

 だって、気持ちの面では大人だから。

 実際、何でもかんでも怒ってちゃ、ノンノン意味ない。可哀そう。

 絶対、なんでもやるって決めた。

 あたしたち、本物天才大集合軍団。

 だって、頑張ってるし、意識高いし、めっちゃ最高。

 頑張るあたしたちって、いつも本物。

 どうもこんにちは。

 最高、集団です。

 天才、最高、天才、天才。

 レッツゴー完璧。

 全部成功、あたしたち、最強。

 つーか、本物。

 結構かましてる感じがヤバくない。

 マジでマジでの本物感。

 でも、いつも喜んでハイテンションでも涙が出ちゃう本物だから、辛いことがあってもハッピーテンションで上がってボンボンボン。

 ピュータリーはあたしらの幸せの言葉。

 叫んで、いつでも状態最高。

 上がっていくのは、自由の象徴。

 とめどなく行けるところまで、ドンドンバーン。

 可愛いもの大好き。

 甘いもの大好き。

 ウザいもの、ノンノン。

 でも、それ以上に。

 みんなのことを愛してる。

 ラヴで満たして溢れんばかりの日常ハッピーシアター。

 意識の高さは平和の証。

 見え透いた社会の穴を、いつまでたってもほじくって。

 それで、分かったつもりなの。

 もう、大人たち。

 とりあえず男子たち。

 そーれ、それそれ。

 ノンノノン。

 ノンノンノン。

 行けるあたしら完璧ですから。

 だって飛び出す金星行き。

 片道切符でも、泳いで戻ってきちゃう本物。

 それが意識高くて、一式高くて買えないもの。

 必要だから戦うの。

 あたしら本物、ビッグバースト。

 注入するのはお金じゃないの、権力じゃないの、愛なの、平和なの、ラヴなの、ピースフルなの。

 凄いものを知ってるあたしら、最高集団完璧天才極上奇天烈珍妙奇々怪々極天使。

 行けるっ、あたしら行ける。

 本物のあたしら見せてあげる。

 あたしらがまだ本気じゃないってこと知らないんでしょ。

 本気を出しちゃうとどうなっちゃうのか知らないんでしょ。

 あたしたちが天才パワーを出したらどうなっちゃうのか知らないんでしょ。

 この綺麗さが世界を覆ったらどうなるのか知らないんでしょ。

 キューティクル爆弾、知らないんでしょ。

 ポイポイ繋がるハートウォーミングアタック、知らないんでしょ。

 葉っぱにバナナにリンゴにヨーグルトに豆乳にはちみつのスムージー、知らないんでしょ。

 ピンキーピンキーベイビーのロックベースバーストのサビの前の振り付け、知らないんでしょ。

 レインボーって結構奥まで入るんですよ、知らないんでしょ。


「ちょっと待って、止まって」

「はい、なんでしょう」

「これは、うちのアイドルに歌わせる新曲の歌詞よね」

「はい、考えて来ました」

「あなた、お名前と年齢はなんだったかしら」

「久蔵 誠一郎。五十二歳。長距離トラックの運転手をしています」

「いつもの作詞家さんはどうしたの」

「なんか、仕事が嫌になったらしくて家出してます。机の上に一枚紙があり、びっしりと、知らないんでしょ、と書かれていまして」

「なるほど、説明ありがとう。ただ、だとしてもね、あなたが代わりにくる意味が分からないんだけど」

「確かに、そうなんですが。代わりに来てあげたこっちの気持ちとか、知らないんでしょ」

「ふざけないで」

「ごめんなさい」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

炎上するプライドまとめ エリー.ファー @eri-far-

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ