第16話【スライムとスライムとスラ(以下略)……合流!】
「ソラ! そこの敵頼んだ!」
「ちょっ、こっちはどーすんだよ!?」
「ん、私がやる……」
現在、ベルチームは敵の大群に囲まれていた。
広い場所に出たと思ったらこれだ。
防御力が低いベルを守りつつ攻撃をするソラとフィール。
だがしかし、敵とこの三人との相性が最悪だった。
「誰か魔法系スキル使えるやつはいないのかぁーー!!」
ベルはそう叫びながら、帰ったら魔法系スキルを取得しようと思っていた。
「今攻撃が通るのはフィールくらいだな……フィールとベルは俺がカバーするから頑張れ!」
「……ん、わかった」
「私は取りあえず毒とか麻痺ナイフでチクチクしてるね!」
「ああ! ……ったく、コイツらスライムのくせにつえぇー!」
そう、現在ベルたちを囲んでいるモンスターは《スライム》、一見弱そうだと思うだろう。
だが、《NGO5》においてスライムは物理攻撃がほぼ無効なのだ。
なので魔法スキルや属性エンチャントでしかダメージを与えられないので、エンチャントが出来るフィールしか大ダメージを与えられない。
「……【エンチャント・ヘルフレイム】!」
「おお! いいぞ! 【ドレインシールド】!」
フィールが【エンチャント・ヘルフレイム】で敵をまとめて攻撃する。
その隙にソラは敵の攻撃をガードすると、その敵からHPを吸収するスキル、【ドレインシールド】を発動させて被弾して減ったHPを回復させる。
「えいや、そいや、ほいや!」
ベルはスライムの攻撃をソラに任せ、スライムを後ろからナイフでチクチク刺していた。
ただスライムに目は無いので後ろなのかはわからないが。
「ハアァァ!! っておい、これって……」
「えー、やっぱりー?」
「……合体した……おっきくなった……」
HPが減ったスライムたちは集まり、大きなスライムになっていく。
それを見て、一同内心「うわぁ」と思ってたが、すぐに「あれ? これいけんじゃね?」と思うようになる。
そりゃそうだ、大量のスライムに四方八方囲まれて前も後ろも攻撃するのはめんどくさいが、今こうして集まって一つになってくれた。
敵がたったの一体になり、さらに的が大きくなった。
そうなればフィールの一撃で消し去ることが出来るのだ。
「ソラ! 私たちで動きを止めるよ!」
「わかってらー!」
「一撃で……【創造・槍】ゲイボルク」
ソラとベルが巨大スライムに向かっていく中、フィールは槍、《ゲイボルク》を【創造】で生成する。
「やっ! はっ! 痺れろぉ!」
「うおー……って俺動き止められるスキル持ってねぇー!」
「えぇ!? 使えないなぁー、じゃあ【挑発】してよ」
「あー、はいはい……【挑発】」
ソラはベルに言われるまま【挑発】を発動してデカスライムの注意を引く。
「ほらよ、さっさと痺れさせろよー」
「わかってる! おりゃりゃりゃりゃーー!」
ソラに言われちょっとムカついたのか、スライムに大量のナイフを投げつけ、さらに斬り付け、怒りを鎮めていく。
すると、ソラに攻撃していたデカスライムはやっと麻痺し、動きを止める。
「よっし! フィール今だよ!」
「ん……」
ベルのその言葉に、フィールは小さく頷くと……。
「てりゃぁー………」
と、フィールは無気力な掛け声で、ポイッと《ゲイボルク》をデカスライムに向けて投げる。
「それじゃあ無理なのでは?」そう思ったベルとソラだが、すぐにその思考を撤回した。
ポイッと投げられた槍はみるみるうちに巨大化し、轟音を立てて空の彼方へ消えていった。
「え……っと、うん、お疲れ二人とも」
「お、おう……さっさとバウムたちと合流しようぜ」
「ん……」
明らかに物理攻撃だったが、スライムは跡形も無く消えており、塔の壁はぽっかりと穴が空いていた。
その威力にソラは素直に驚いていた。そしてベルは……。
「私……よくフィールに勝てたなぁ……」
そう呟いてまた階段を上り始めた。
* * *
少しすると、巨大な扉がある部屋に辿り着いた。
「ボス部屋まで来ちゃったねー」
「そだな、あいつら待つか」
「ん……もう来た……」
ベルとソラはベリーとバウムを待とうとしたが、フィールの言う通りもう着いたようだ。
「おー! この扉、ボス部屋に転送されたのかー!」
「そうみたいだね。あ、ソラ!」
「おぉ! みんな揃ったねー!」
ベリーとバウムがベルたちに気付き、やっと全員が揃う。
「ベリー、そっちはどうだった?」
「うーんとね、丸いボスが居て……倒したら鍵を貰ったよ!」
「丸い……いや、そっか、その鍵はどこで使うんだろう……?」
ベルは鍵を眺めながら首を傾げて唸る。
そして、ソラとバウムは……。
「ベリーと二人っきりだったわけだが……何か進展は?」
「えっと……ベリーと、呼び捨てで呼べるように……なったくらいです」
「……そうか、まぁ今度ベルにベリーの取り扱い説明書を作ってもらおう、そうすればもっとよくわかるだろう」
「うん、そうだね……僕は結構疲れたよ」
そうバウムが言って、ベルが扉の前に立つ。
「じゃあみんな、敵の情報は無いから、慎重に行くよ!」
ベルのその言葉に全員頷く。
「よし、ではここでベリーから一言」
「え、えぇっ!?」
「人の注意を聞かなかったバツです!」
「う、うぅ……じゃあ……絶対第二階層に行くぞー! おー!」
右手を突き上げて言ったその言葉に、みんなも。
「「「「おーー!!」」」」
こうして、第一階層ボスへの扉は開かれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます