生まれて初めてゲームをしたらパーティーメンバーが最強すぎる件について!
ゆーしゃエホーマキ
第一章:生まれて初めて
第1話【遂にゲームをプレイする時が来ました!】
「こ、これが最新のゲーム……!」
と、少女が店頭にズラリと並ぶ今年発売されたばかりの最新のVRMMORPG、《NewGameOnline5》を手に取って呟く。
瞳を輝かせ、まじまじとパッケージを眺めていた。
少女……
お爺ちゃんっ子だったので昔からよく一緒に遊んでいたゲームは花札や将棋、囲碁などで、まずそもそもお金が無く、買いたくても買えないからだった。
だが高校生になって、アルバイトをして、いろいろと欲しいものを買えるようになった。
そして、VRゲームに興味があったので少しやってみたいと思ったのだが……何しろ全く触れていなかったのでゲームの事なんてほとんどわからない。
……と、いうことで幼馴染であり、大親友でもある
「――えっ、苺がゲームを!? 本当!? じゃあこれ、これ一緒にやろうよ!」
そう言って《NewGameOnline5》を薦めてきた。
何でも今一番人気があるゲームのナンバリング作品らしく、初心者でもわかりやすく、楽しくプレイ出来るそうだ。
鈴がこれを薦めたのには理由がある。
ひとつは鈴がこのゲームのファンであるから。
まず自分が好きなゲームを薦めるのは当然と言える。
そしてもうひとつは、一緒にやる友達が居なかったからだ。
鈴にも苺以外に友達は居る、居るのだが……鈴は苺以外にはゲーマーであることを隠していた。
そして苺がゲームを出来ないことから今までずっとソロプレイヤーで、他のゲームでは“プレイヤーキルの悪魔”だとか、“伝説のソロプレイヤー”なんて言う二つ名が密かに付けられている。
1人でも充分楽しめるが、やはり誰かと一緒にゲームをしたいと昔から思っていたのだ。
「よし……買おう!」
苺はゲームソフトとVRゲームのハードを手に持ち、レジへ足を進めた。
* * *
家に帰ると早速ログインの準備に取りかかった。
電源を入れ、取り扱い説明書片手にハードの設定を数十分で済ました。
「よーっし! 後はこれをここに入れて……? ……うん、これでオッケー!」
そして過去最高にドキドキワクワクと胸の高鳴りを抑えきれない苺は、遂に、生まれて初めてのVRゲームを体感するのだった。
起動し、目の前が突然真っ白に光ったかと思うと《NewGameOnline5》のタイトルが表示され、キャラクター設定画面へ移動した。
「ふむふむ……見た目は現実の身体を元にランダム生成なのかぁ……へぇ、髪の色とか目の色は自由に変えられるんだ! ……うぐぅ、身長は変えられないかぁ……」
現実と身長が違うと感覚が狂ってしまうため、ランダム生成だが身長は現実と、誤差はあれどほとんど同じに設定される。
そのため、どうしても身長を変えたかった苺は残念そうにガックリと肩を落とす。
何故なら苺の身長は150cm……身長が低く、さらにどこか子供っぽいので高校生なのによく小中学生と間違えられてしまう。
「うぐぅ、仕方ない! せめて1cmだけでも伸びますように!」
と、神に……もとい運営に祈った。
それが無駄な足掻きとは知らず。
「髪は赤くして〜、目も赤くしちゃおう!」
すると予想キャラクター完成図なるものに苺のキャラクターが表示され、髪がピンクに近い赤になり、瞳も同じような赤……苺色になる。
さあ、次は
「おぉ……凄い、いっぱいある!」
最初に選んだ
「うーん、銃とか魔法はよくわからないし……剣とか斧よりはやっぱり刀を使いたいし……やっぱり、これだ! 《侍》に決定っ!」
苺が選んだ
……なのだが扱いがかなり難しく、プレイヤースキルが試されるとなっている。
その為、発売当初はバランスがいいことから侍職のプレイヤーが多かったのだが、今ではほとんど見ない
「うんうん! 弓も使えるし良い
しかし、そんなことを知るはずもない苺はすぐに決定し、初期スキルを選ぶ。
「う、うーん……どうしようかなぁ……?」
初期スキルは3つの中から1つ選ぶことが出来る。
1つは【絶対回避】。
スキル発動後、一度だけ自動的にどんな攻撃も回避し、ダメージを無効化することが出来るスキルだ。
そして次に【ソードスラッシュ】。
武器から無属性の斬撃を一直線に飛ばすことが出来る。
魔法使い職でも使用可能な斬属性で、飛距離が長いのが特徴だ。
最後に【人体覚醒】。
スキル発動から一定時間、攻撃力と防御力を超強化する。
これらの3つのスキルは一度しか選べず、1つ選んだら他の2つのスキルは二度と手に入らないので慎重に選ぶことが重要だ。
「うーん……攻撃は何とかなりそうだし、強化もいらないかな? ……よし、避けるのはちょっと苦手だし、【絶対回避】にしよう!」
初期スキルを決めたら次はキャラクターネームの設定だ。
もしも“ああああ”など適当に付けてしまったら、イベントなどで優勝するほどの実力ある有名プレイヤーになったとき恥ずかしい。
あとは本名なんて使ったら普通にアウトだろう。
「名前は……うーんと、苺だから……えっと、ストロベリー? ってなんか長いなぁ……あっ! それじゃあ、“ベリー”……っと」
そう呟きながら微発光するパネルを操作して、名前を決定すると苺の身体が光に包まれていく。
『ようこそ、《NewGameOnlin5》へ!』という歓迎のメッセージが表示され、苺は第一階層の《始まりの街》に転送されたのだった。
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