ガルル ~あふるる恋の遠く清くなつかしき~

星野 未来@miraii♪

【 プロローグ 】


「お腹空いてるの?」


「う、うん……」


 彼女は恥ずかしそうに、そううなずいた。

 周りに家らしいものがないこの地で……。



 ――彼女が僕の家に来るようになってから、既に1週間。

 彼女は、どうしてこんな田舎の山奥に、住んでいるのか。


 3年前に、東京からここ高知県の山間部にある、広大な緑の景色と空気の澄んだこの場所へ僕は引っ越していた。

 石でできた階段の上にポツンと存在するこの古い木造平屋の一軒家。



「温かい土佐のイノシシ鍋でも食べる?」


「う、うん……」


 彼女は今日もそう頷いて、僕の家の玄関を入る。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る