【 第二次世界大戦 】


 あれは、日本が第二次世界大戦の最中さなか……。


『ブゥルルゥーーーーンッ!!』


『ババババ……、ババババ……』

『ブウゥーーーーンッ!!』


 ワシと戦友の山田やまだは、敵機飛び交う太平洋上で、ある戦闘機に乗っておった。


「山田っ!! 気をつけろっ!! 敵は後ろにもいる!!」


 ワシは山田の操縦する戦闘機を左手に見ながら、左旋回する。

 すると、山田の戦闘機は、既に2機の敵機に後方を取られて、機銃を撃ち込まれておった。


『ババババ……、ババババババババ……』

『ピュン、ピュン……、ドバババ……、バンッ!!』


「うわぁ!! くそっ!! たちばなーーっ!! やられたーーっ!!」


 助けようと思ったが、時既に遅し。

 敵の機銃が命中し、機体から火を吹くのが見えたんじゃ。


『ボボンッ!! フウゥーーーーン……』


 山田の戦闘機は、黒い煙を吐きながら、力無く失速していった。


「山田ーーっ!! 山田ーーーーっ!!」


『ブウゥーーーーンッ!!』



 ――同じ釜の飯を食べた、一番仲の良かった戦友の山田は、敵機にやられ、そのまま太平洋の海へと落ちていった。


 ワシは、太平洋戦争で、熟練搭乗員として、あのニューブリテン島(現:パプアニューギニア)の『ラバウル航空隊』に所属しておった。

 あの有名な『零式艦上戦闘機れいしきかんじょうせんとうき』、いわゆる『零戦(ゼロ戦)』に乗っておったのじゃ。


 ワシの年齢は、その当時、まだ20歳じゃった。



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