与謝野晶子

ウッチー

第1話「俺が与謝野晶子〜〜??」

家に帰って、ケータイをいじり出した俺。

いつも通り、Twitterを開く。

「ん?けっこう通知たまってんなあー」

通知欄には20個の通知が来ていた。

そして、核心的な違和感に気づく。

〈与謝野センセイ、あなたの詩のような呟きには、毎日癒されています。〉

〈与謝野センセイ、普段は何しているんですかー?〉

〈私は詩を書いて30年になります。与謝野センセイの麗しい表現には心を洗われます。〉

………

「よさの、あきこ?」

「待て待て待て!なんだコレ?!俺アカ名変えたかな?」

確認してみる。


「ラッシャー鈴木」、変わってない…。


「じゃ、なんでみんな与謝野センセイ扱いしてくるんだー?!与謝野ってあの与謝野晶子のことだよなあ〜?」


Twitter検索で調べてみる。


ふむふむ。ん?


“あの方”の名前は直接言ってはならない。あくまで、“与謝野センセイ”、または“与謝野晶子さん”

で統一するように。


「あの、方?」


調べて有力な線はこの呟きぐらいだった。あとは、本物の詩人、与謝野晶子についてのツイートが目立った。


仮に、仮にだ。仮に、俺がその、名前を言ってはいけない“あの方”=“与謝野晶子”だったとして、俺、そんなだいそれたツイートなんかしてねーぞ!?


過去のツイートをさかのぼってみる。


「今日はいい天気だあ」


「焼きマシュマロっておいしいよねー」


???


普通だろ。


こいつら、全員勝手に深読みして、おれをだいそれた人物=詩人にしたてあげてるに違いねえ。


俺は打った。


「わたしはばかです。与謝野晶子でもありません。」


するとーーー


通知が止んだ。っと思いきや…!?

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