第2話「綺麗な薔薇には」前編
第二話「綺麗な薔薇には」前編
「少々手違いがございまして、
元はアメリカの人気番組であるリアル恋愛サバイバルドキュメントの日本版、”
「お、おぉ!貴方は確か
――
その人物はきちんとした正装に身を包んだ司会進行役、浅黒く日に焼けた肌にダンディな口髭がトレードマークの健康的なイケオジ、俺もテレビの”
「そ、そうなんですか、今回は高校生バージョンってことで先に女性が会場入りしていると秘書から聞いていたものですから……では通常回通りに女性がリムジンで順に来るのですね」
俺はほっと胸をなで下ろし、そしてガーデンテラス側にあるガラス越しにずっと向こうの道路を眺める。
「いえ、それは……」
「どんな女性達が来るんでしょうね?ね?どうですか?
「いえ、ですからそれは……」
「あっ!?もしかして俺、門の方のガーデン中央付近で待っていた方が良さげですか!?
ダンディな司会進行役である
――コンコンッ
その時だった!
不意に軽いノック音が響き、
――お!?
白い、清楚なリボンに装われた艶のある美しい黒髪ロングヘアー、
美術品の域まで完成された
もぎたての
――と
何故か豪華な
普通なら違和感しか無いその取り合わせにも俺の思考と視線は……
――まるで冬の清らかな夜空に輝く天の川銀河
――”
一目で生粋のお嬢様だと理解させられる気品溢れるとびきりの美少女に一瞬で魅了され、そして今の今まで抱いていた多少
コツ、コツ、コツ……
大理石張りの床を、黒く光るエナメルの革靴が小さめの歩幅で歩みを刻む。
「え……えと……はじめ……はじめまし……」
「エントリーNO.1、S.Kです」
「…………………………は、はぁ……………は?」
未だ遭遇した事が無かった”超美少女”という圧倒的
名乗り……
――いや!名乗ってねぇぇぇぇっ!!
「S.Kってなんだよっ!?なんでイニシャル!!自己紹介になってないんじゃ……」
慌てる俺にも彼女は全く変わらずこう零したのだ。
「………………別に他意は……少し汚れそうで」
――おおぉぉーーいっ!
――俺に名乗ると名前が汚れるのか!?
「てか俺ってバイ菌マン!?固有名称を汚染するバイ菌ってどこの独裁国家の最新兵器だよっ!はぁひぃふぅへぇほぉーー!」
彼女の言葉は”他意”が無くても、”悪意”に満ちていたのだった。
「
「なにがどうなってそういう会話にっ!?」
頭を少し前傾に、美しい黒髪をサラサラと流れさせた美少女はそう言って俺から離れた場所に移動する。
「会話も弾んでいるようですが
「弾んでねぇぇっ!!?……
――”
――って、まだ”ひとり”しか……
第二話「綺麗な薔薇には」前編 END
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