第3話その次の日
結局そのあと眠ってしまったようだ。朝からあの肉を食べる気が起きず、彼女の眼を盗んでポケットの中に肉を忍び込ませた。とりあえず、ここで暮らさせてもらえる内は、彼女の手伝いをすることを決心した。こういう生活だから、肉体労働には変わりないだろう。筋トレを長続きしなかった自分を恨むばかりだ。
「手伝ってくれるの!大変だからすっごい助かるw。えーとね、とりあえずやることは少ないけどね、一つ一つが大変なのだから覚悟しててね。」
やっぱりそうなのか。まぁ、覚えやすいからいいのかもしれない。そんなことを思いながら、彼女に促されるまま準備を進め、目的地に向かい始めた。
「よし!今からやることと今日やらないといけないことを教えるからしっかりと分かってね。」
彼女の言うことをまとめると、飲み水と食べ物あと薪を集めるらしい。住処とそのような生活必需品を集める場所が遠いというのは不便であることに変わりないが、動物など生活を脅かす生き物が多い事に変わりない。諦めるしかないのだろう。
「そろそろつくから気を付けてね。」
とりあえず水場についたのだが、衝撃的な光景といえばこれ以上のようなものはないだろう。遠目ながらにも虫を見ることができたのだが、なんなんだあの大きさは!?
昆虫というのは大きくなることが不可能なのだ。周りの景色の大きさと自分の違いに怪しさを感じていたが、自分が、はっきりとわかる形でこうも示されてしまえば動揺を禁じ得ないというものだ。
「ん?あー!あれのことね、君も見たことがあるものだと思っていたよ。大丈夫だから安心してね。私だってバカじゃないよ。安全じゃなかったらあんな化け物に近づくわけないじゃん。」
確かに言われてみればそうである。それに、ずっとここで暮らしている彼女だ。彼女の意見のほうが正しいのは当たり前だ。
「なんでかわからないけどね。襲ってこないんだよ。ほんと助かってるよ。」
そうなのか。そうなのか?じゃあなぜ住処を遠い場所にしているのだろう。
「は?ほかの行く場所との中間らへんだからだよ。」
やっべ、、、。無知をさらしてしまったことに後悔しながらとりあえずわだいをかあえようではないか。なぜそんな話し方が変わるのか?とかいいじゃないか。
「正直あなたとの距離の詰め方をどうすればよいか悩んでいます。どの話し方が一番あなたと会うのか詮索している途中なので申し訳ございませんw。」
こいつこらえきれなくて笑いやがった!彼女をにらみながらも仕事をする。
どんぐりで作ったカバンの中に水を注いでいく。よく考えられたものだ。ふたまでついているのだ!日常では見えてこないことをそうやって知るのは楽しいなとうきうきしていたのもつかの間、水を入れたどんぐりを運ぶのがこれほどまでに辛いとは思わなかった。今すぐにでも募金箱の中に万札を入れてあげたい気分になったが、今はそんなことも到底かなわないことだ。ひとまずはご飯のためにもう一往復しなければいけないことに向けて備えなければいけなかった。
「今から木の実をほりに行くから準備しといてね。」
日常生活で聞かないような単語が出てくるのはやはり面白いなぁ。そんな現実逃避しかできないこの生活憎まれる。
おのれ、神のこんちきしょう。
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