最近デレデレしてる幼馴染み彼女との日常

@enji2815

天川 悠人の朝

 ピッ……


 朝、目覚ましと同時に目を覚ましアラームを止める。

 グっ…と背伸びをしてからカーテンを開ける。


 そろそろ茜が来る頃だな、先に着替えようか…なんて考えてると一階の方で話し声が聞こえてくる。

 そしてパタパタと階段を上がってくる音がしてから直ぐに、部屋のドアが開いて、その隙間から茜が顔を覗かせる。


「ハルくーん……あ、おはようハル君」


「おはよう茜」


 制服を着た天使が部屋へ入ってくる。


「ハル君、最近起きるの早いよね」


「…え、そう? あんまり変わらなくない?」


「ううん。 前は結構起こしても全然起きてくれないこともあったし…今はわたしが来るより前に起きてるから。 ……寝顔撮りたいのに…」


「あー……あんまり夜ふかしをしなくなったからかな?」


 異世界グレセアに行く前はゲーム、アニメ、ラノベと毎日夜遅くまで起きてたからな…。

 今でも趣味は変わらないんだが、流石に四年間も離れると前ほどハマれない。


 後、流そうと思ったんだけど、寝顔がどうとか言ってませんでしたか?


 …まあ、考えないようにしよう。


「茜、着替えるから先に下に行ってて」


「うん」


 そう行って茜が移動し始めたので、着替えるために服を脱ぎ始めると…


 パシャリ


 後ろを振り返るとスマホを此方に向けて目を輝かせてる茜がいた。


「あ……大丈夫、気にしないでハル君っ」


 なにがだ


「茜」


「え…? な、何かなハル君」


 俺が少し近寄ると、茜はその分後ろに下がる。


「今撮った写真の削除を求めます」


 少し脱ぎかけてたし…


「ちょっと無理かな…」


 ………しょうがない。



 茜からスマホを奪う為に取り敢えず、脇腹をくすぐった。…決してイチャイチャしたい訳じゃないぞ? (したくないとは言ってない)


「やっ…止め…ハルく…あは、あははは!」


 そうこうしてるうちに二人してベッドに倒れこむ。 お互い密着した状態で茜は肩で息をしている。


「……ハル……くん」


 顔が近い、茜の吐息がくすぐったい…朝っぱらから理性がヤバイ、このままじゃ遅刻どころの話しじゃない。


 少しだけ茜から離れる、ただそれだけなのに体は直ぐに動いてはくれなかった。


 俺が離れると茜が寂しそうな顔をするのも辛い。



 だがしかし今はあの写真を…


「茜、スマホ貸して…流石に恥ずかしいから」


「うー……どうしても駄目?」


 くっ…上目遣いとは卑怯なっ


「ぐ…だ、駄目」


「むぅ…ハル君の意地悪」


 意地悪…盗撮写真の削除を求めただけなんだが?


 そう言いながらもスマホを渡してくる。


「あ、ハル君フォルダは触らないでね、何も入ってないから」


 嘘だ! この流れでよくその台詞を言えたな。


「いや、流石に騙されないから…」


 そう言って『ハル君フォルダ』を開くと…あれ?


「本当に空…だと?」


「もう、信じてよ…ハル君に疑われるのは悲しいよ…」


 むくれる茜


「ごめん。 でもまさか本当に空とは、一体何のためのフォルダなの?」


「え?ハル君の写真だけど?」


 …?


「……?」


 俺が意味がわからないという顔をしてると


「あ、最初はハル君の写真用に作ったフォルダだったんだけど」


 うん、今言ってたね


「考えてみたらスマホの中の画像って、ハル君の写真しか入ってないから、フォルダ分ける意味ないなって」


 それを聞いてもう一つあった無題のフォルダを開く、中には1000枚以上、容量にして3.8ギガもの俺の写真がそこにはあった。


「……茜さ」


 枚数も勿論アレだけど…


「うん」


「どうして俺が我が家の脱衣所で、服を脱いでる写真を持ってるの?」


「えと…それはー、そのー…」


 言いづらそうにモゴモゴする茜。


 やがて観念したのか。


「さゆりおばさんに送ってもらったの…」


 やはり身内に敵がいたか。……え、いや待って? あれか、俺は親に盗撮されてたのか?



 ――こういう時、どんな顔をすればいいかわからないの。


 笑えば………いや笑えねーよ



「……」


 俺は無言でドアの前まで歩く、わかっている、わかっているとも。 どうせそこにいるんだろう?


 ドアを勢いよく開ける、さあ観念し……あれ? 誰もいない…考えすぎだったかな。


 ふと、茜の方を見るとクローゼットにチラチラと視線を向けていた。


 まさか…


 俺の視線に気づいた茜はわざとらしく明後日の方向を向く。


 俺がそのままクローゼットまで歩いて行くと、中から物音が聞こえた……。









 その日、善二郎の悲鳴が天川家に響いた。


 因みに小百合は逃げた、信じられないようなスピードで善二郎を犠牲にして…




――――――――――


結局写真は削除できなかった。(茜がガチ泣きしそうになった為)














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