セツなき恋と終わらない夏
詩一
第1話「名前も知らないで告白したのかよ!」
「あなた、夏ピッタリね! わたしの恋人になりなさい!」
まるでかき氷にかけるシロップを選ぶ幼子のような無邪気さで、目の前の美女はそう言った。買ったばかりのソーダがびっくりして手から抜け出し、フローリングにシュワーッと広がった。
「わたしは
「
「へー! 名前まで夏じゃない! さっすがわたし! 見る目あるぅ!」
腰に手を当てて喜ぶのはいいけど、ちょっと待て。
「名前も知らないで告白したのかよ!」
「名前を知らなかったのはお互い様でしょう? 自分だけ棚上げにしてズルいなー、もー」
いやいやいやいやいや。そりゃそうだけど、論点ずれてないか?
「それで、YESなの? NOなの?」
彼女は俺が通う大学で美人として有名で実は名前だけは知っていた。実際お目にかかったのは初めてだが、想像以上にかわいい。
今は夏だと言うのに、肌は雪を想像させるほど白く。風が吹くたびにさらさらと揺れる長い茶髪はどこか涼しげで。二重瞼と長い睫毛は瞳の輪郭をくっきりさせていて。ややツリ目なのがこの強引な性格に似合っているなと思った。
初対面だが特に断る理由は見当たらない。
「YESだ」
なんか、言う前からちょっとにやぁっとしてなかったか?
「よろしくね、夏志くん! わたしのことは舞季でいいわ」
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