第1話 人と違うところ

これは私が16歳の頃のお話です。


「はぁ....ダリィ.....」

俺の名は大輔、高校1年生だ

スポーツも勉強も勉強もなんの取り柄もないそんな男だ

正直俺に生きている意味などあるかどうか分からないし、最近は消えたいと思っている。

とまぁいたって平凡で根暗な俺だったが、ただ一つだけ違うということがあったとすれば

それは彼女の存在だっただろう

「ダイくんおっは〜!」

彼女の名は斎藤 由奈

幼馴染であり、父親の転勤で離れ離れになっていたが、最近由奈がこちらに帰って来たお陰で再会する事が出来た。

まぁ、今の俺にはもう不要な存在だが

「由奈、おはよう」

「そういえば今日、国語の漢字テストだよね、ダイくんはきちんと勉強したの?」

「あぁ、まぁ」

テストなんて関係ないと内心でそう思いながら俺は答える

「へぇ、ダイくんにしてはちゃんとやってるじゃん」

と呟きながら、由奈は俺の頭を撫でた

「ちょ、由奈…こんなところでやったら…」

「えー いいじゃん

「てか、由奈は勉強したの?まぁ頭いいから勉強しなくても大丈夫かもしれないけど」

「そりゃしてるに決まってるでしょ!」

俺は内心で

由奈と会うのもこれが最後か…

というのも、俺は昨夜決めたのだ

今日の放課後、学校の屋上から飛び降り自殺すると

実はずっと前から悩んでいたのだ

俺に生きている意味なんてないのではないかと

俺には特に嫌なことも無いし、ただただ刺激のない日々がつまらなくなっただけだ

ま、もう親は海外に住んでいるから一人暮らしだし誰も悲しむやつなんて…

いや、一人いるな

それが目の前にいる由奈だ

彼女はずっと俺と一緒に育って来た

だから多分、彼女は俺を止めるだろう

ま、それがわかるから彼女を含めた誰にも言っていないのだが

そんなことを思っているとチャイムが鳴った

「あっ、鳴っちゃった、じゃダイくんまた放課後〜」

言い忘れていたが、僕と由奈はクラスが違う

だから、これが本当の別れなのだ

「あぁ じゃあな」

と俺は怪訝そうな顔を浮かべる由奈を見送って

「さて最後の日を満喫しますか」

と呟いた。


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