信仰の日 3

 街には大きく立派な教会が三つある。

 どれも大きさは同じで、街で一番大きい建物だからすぐに見つけられる。

 色々な街を見てきたから分かるが、この街の発展の仕方は異常だ。どの建物もデザイン性から耐久性まで兼ね備えている。


「一級建築士を集めて造った街なのかな」

「違うな」


 それぐらいしか自分の中では答えが出せなかったが、羽美にキッパリ否定されてしまった。何か分かったのだろうか?


「でっかーい。この中でみんな何してるの?」

「入ってみようか」


 堅牢すぎる教会。どこから入ればいいか一瞬迷ったが大きな鉄の門に小さな入口が用意されていた。


 協会の中には一階と二階にも席が設けられた、コンサートでも出来そうなホールになっていた。

 この街は瀟洒に飾られすぎていると思っていた。協会の中に入るとその考えは間違っていた。


「きれー!うーちゃん見て見てこれ!」

「お、うまそうな酢昆布じゃねぇか。俺の好物だ」


 壁際にズラリと並んだ食料。

 どう見ても神様へのお供え物にしか見えない物を、二人は素で気づいていない。食べようとしていた。


「あ!お客様!」

「あ、お姉さん。こ、これは…二人ともちょっと礼儀が…」


さっき部屋に来た綺麗なお姉さんが、慌ててこちらに来た。

 お供え物をミサの途中に食べようとする不埒ものがいれば当然だ。が羽美はすでに、酢昆布を口にしていた。


「いけません、お客様!神様の御前でそのようなお召し物では」


 普段から目のやり場に困る羽美と、竜胆も色気は少ないが薄着である。二人を見て飛ぶようにお姉さんが近ずいてくる。


「ん?お召し物」


 酢昆布を口にした羽美と竜胆はそのまま、綺麗なお姉さんに担がれて別部屋に連れ込まれてしまっまた。


「……」

「……」

「良くお似合いです。予備のドレスのサイズが合って良かったです」


 満足気な綺麗なお姉さんは、二人の意志とは無関係に有無を言わさずお洒落なドレスを着せてすぐに列に戻って行った。

 普段からスーツを着ている僕だけは何も無かった。いや、悔しくないですよ。


「羽美も竜胆もやはりポテンシャルはあるんだよね。綺麗だよ」

「うるせぇ。ったくこんな無駄に高そうなもん誰が作ってんだ」


 歯切れが悪い。意外と気に入ってるようにも見える。馬子にも衣装とはこの事か。ニヤニヤ。


「何笑ってんだ」

「心を読まないでよ」

「ねえ、リンもかわいいでしょ!もっと褒めて褒めて!」

「わぁ!竜胆すっごいかわいい!地上のどこ探してもこんなに可愛い子は見つからないよ!まさに地上に降り立った女神!天使!…」


 ……

 とりあえず、全力で褒めた。

 さっき買ったジェラシーを全て無くすつもりで褒め讃えた。

 満更でも無い顔をしていたから、たぶんある程度は機嫌が治ってくれたと思う。

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