殺し屋の少年、ターゲットに保護される。

ウレシノハラ / 狂咲林檎

第1話:任務失敗

感情、それは人を殺すうえで最も無駄、そして邪魔なもの。

人を殺すときは極めて冷静でなければならない。

万一逃げ遅れでもしたら俺らは一生豚箱にいなければならない。




そう、教わったのに、俺は躊躇してしまった。

殺し屋失格だ。


(あぁ、先生、先輩、俺やっぱり殺し屋は向いてなかったのかもしれません。)


今回の任務は早急に目標者を殺し、立ち去らなければならなかった。

事前に何回も説明を受けていた。


それなのに、俺は、目標者の少女を見て、少女の恐怖や悲しみのではないまた別の、何かから解放されたような涙を見て、躊躇ってしまった。

15かそこらの少女が翡翠色をした目から大粒の涙をポロポロとこぼしていて、


そのうえ、見張りの奴から太腿に銃弾をもらってしまった。


…昔から殺し屋には向いてない性格だと言われていた。


「アルト、お前は優しすぎる。」

と。


今までの任務で怪我をして動けなくなった仲間を助けようとして殺されそうになったこともあった。


だけど、見捨てようとすると浮かぶんだ。

訓練生時代に笑っていたそいつの顔が。

俺はそんなところ以外、身体能力などは人より飛びぬけていた。


しかし、この性格から『欠陥品』と呼ばれていた。


(俺みたいな欠陥品でも、愛してくれる人はいたのかなぁ。)


「いたぞ!捕らえろ!」


(あぁ……俺ももう終わりか。短かったけど、楽しかったな。)

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