過去の事件4 混入
第一話
とあるホテル。いわゆるラブホテル、というところなのだが。
シバは朝起きると誰かに起こされた。
「おはよ」
優しく甘い声で。
「うっす」
いい匂いがする。部屋中コーヒーの匂い。その声は李仁、という男であった。
しかし仕草は女そのものでブラウスとボクサーパンツのみの姿。彼のことに関してはまたのちに。
「あなたもコーヒー飲む?」
どうやら彼がホテルに置いてあるコーヒーメーカーを使ってコーヒーを作ったらしい。
「あー俺がやるから。せっかくつくってくれたのに申し訳ない」
「はいはい」
シバは自分の飲むコーヒーは自分で淹れる。ホテルにあるポットも入念に洗い、お湯も鍋で沸かし、使い切りのスティックコーヒーを入れて飲む。せっかく作ってくれたコーヒーもあるのにも関わらず。
「いい加減疑わないでちょうだい」
「昔からのくせでね。そろそろ君のことも信用しなくてはいけないね」
「知ってるけどお茶もそうだよね……ペットボトルだもん。水筒も使わない」
そうである。水筒は使わない。シバは行く先々で飲み物をペットボトルで購入をする。
「まぁね、あんたの作る酒は信用できるけど。次はちゃんと淹れてくれたコーヒーも飲むから」
「そこまで疑われたら悲しいわ」
と李仁は悲しい顔をする。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます