第8話 事件のあらまし6

 麻美とあってから数ヶ月後。爆破事故は食料品庫での爆発だったため被害に遭ったのは一部の運送に関わる従業員と食材であり、怪我人は出たが死者はいなかった。

 一時ボヤ騒ぎも起きて館内にいた客や従業員が総避難するという駅前の大騒ぎは学校帰りの学生や主婦たちなどが混乱していた。


 最初の爆発を皮切りに市内ではボーリング場の駐車場、教会の畑、住宅展示場など数箇所で爆発が起きた。とても精密なもので殺傷能力はすごいのだが死者が出なかったのが奇跡であった。


「普段自分達が生活してる範囲内でこんな事件起こるなんて。死者出なかっただけでもマシっすよ」

 火薬や燃えた臭いがとても鼻がつく。茜部は、むせていた。


「なんでこうも無差別に……人も死んでいない。まぁ怪我人はいるが」

 場所や怪我人には共通点はない、無差別に起こっている事件である。


「爆弾の量はブレはないんだよな……無差別だが相当の知識のある奴。その知識の見せつけなのか。愉快犯なのか」

「そんな個人のたのしみのために怪我や損害食らうのは嫌っすね」

「本当いい迷惑だ……」

 だが手がかりは見つからない。使われた爆薬を解析し、入手ルートなどわかれば犯人には近づくのだろうが。


 遠くから違う捜査員がやってきた。彼はカメラの動画を撮影したものをシバたちに見せた。

「スーパーの倉庫監視カメラの記録では爆弾の載ったものを運んでいるものが映ってるんですがその男を調べましょうか」

 その運んでいる男は普通の大手の運送会社の服を着ている。

 運んでいるものはその爆発物や宅配物。その他の宅配物に関しては爆発に巻き込まれわからない。


「この宅配業者を調べてくれ。この宅配の男は本物か。依頼されたものか、本人かわかるだろ」

「はい、了解しました」


 シバはため息をつく。

「次は人が死んでもおかしくないな」

 茜部は驚いてシバを見る。

「……ど、どうしてそんなこと?」

「いや、なんとなく勘だ。勘だから当てにならないが」

「なんかゾワゾワしますね。もしかしたら自分達がそれに巻き込まれてる……」

「おい、それやめろよ」

「冗談ですけど……あ、瀧本さん!」


 瀧本も現場にやってきた。

「さっき聞こえてきたけどももしかしたらもしかするかもな」

「盗聴かよ」

「人聞き悪いな。……あいつには頼んだか?」

「先日依頼してきた。だがまだ有効な情報は……」


「そうか。よろしく頼むぞ……シバ」

「はいはい」

 瀧本は去っていった。


「シバさん、あの例の情報屋ですか」

「ああ、瀧本さんから紹介された……もうここ2年くらいお世話になってる」

「なんで僕は会うのはダメなんすか」

 たまにタメ口になる茜部。シバはそんな茜部を上から下を見て言った。


「あいつ好みかもしれんが……ちよっと違うかなー」

「な、なんのはなしですか? その情報屋は危ない……」

「大きな声出すな」

「大丈夫なんすか、そんな人と関わりが……」

「でーじょーぶ、でーじょーぶ。まぁ時が来たら紹介する」

「前もそう言ってたような……」

 すると噂をしていたかのように例の情報屋からメールが来た。


『製薬会社のものからの垂れ込み。菅生ミチカという女が爆薬物の管理をここ数年しているが微量の誤差を改ざんしてる模様。

 垂れ込み相手は匿名であるが、菅生と体の関係を持ち口封じ。でも今回の連続爆破事件の状況から見て危機感を感じ警察に通報しようとしたが菅生も爆薬に詳しく、またその製薬会社の男は妻子がいるため不倫関係をバレたくはない、自分だけでなく家族に被害が及ぶのではないかと思い、ネットで調べて垂れ込み。』


 シバのスマホを覗き見する茜部。

「よし、今すぐ菅生ミチカという女を捜索するか……車回せ。本部にも連絡」

「了解……っ、て垂れ込み情報ってどこに垂れ込み?」

「気にすんな、早よしろ」

 茜部と共に車に乗り込んだ。

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