第12話 ステータスとスキル。
バハムートとの対話を終えて、意識を取り戻したはいいが、……まずは現状把握だな。
ダンジョンの入り口近く、敵の気配はない。
スマホの電波は……、やっぱり無いか。
ミケは、いつもと変わらず、アニカとアニタは、……何か雰囲気が変わった、というかオドオドしていない。
ニアは……、実体化しているな。透けていない。
「ニア、実体化できたか、よかったな。俺はどれくらい倒れていた?」
「ありがとうございます。ユウトさんが倒れていたのは20分ほどです」
「何か変わったことは?」
「はい。ミケさん達はすでに戦闘を経験しました」
「えええ! マジか? ミケ?」
ミケは腕を組み、誇ったようにしていて、アニタがそれを見て真似をしている。
「そうじゃ、3回もな!」「なっ!」
20分で3回も!
「“達”ってことはアニカとアニタ、お前達もか?」
「はい。ミケさんが弱らせてくれたモンスターにトドメを刺しました」
「ミケちゃんがバァーン! ってやってアニタ達がブスッ! ってやったんだよ~」
「まあ、倒すついでじゃ、こ奴らに経験させておくのも良いじゃろ? 大変だったんじゃぞ? 殺さないように手加減するのは」
「お、おう。とはいえ、よくやったな3人とも」
「アニカさんが収穫を持っていますよ?」
ニアに促され、アニカがポケットから小さな石のようなものを取り出し、見せてくる。
「ダンジョンの魔力によって生まれたモンスターは、死ぬとこのような魔石を残して消えます。皆さんは3回の戦闘で、ゴブリンとウルフを計13体倒しています。――あ、ゴブリンとはエベレストをうろついていたモンスターのことです。魔石は使い道があるので取っておいた方がいいですよ」
「そうだな、ストレージに入れとけばいいな。それと、ゴブリンとかこっちの世界のモンスターの事はほとんど頭に入ってるよ。」
――? ニアを始め、みんな不思議そうにしている。
俺が倒れている間、バハムートと会話をして息子を探す約束をしたこと。
そして、バハムートの記憶、スキル、剣技を受け取ったことを伝えた。
「アニカとアニタは何のことかさっぱり分からないだろうが、追々教えるからな。それも含めて、スキルとか確認したいんだが、出来るって言ってたよな?」
「はい、この世界では生まれた時に1つスキルを与えられますから、その時点からその人個人の特色を表すものとして、ステータスラベルが作成されます。もちろんスキルは後天的に覚えられるものが殆どです」
後天的に覚えられないスキルが得られるとは限らないって事だな。
「ステータスラベルにはスキルの他、名前・種族・年齢・称号・系統が表示されます」
名前や年齢はまだしも、称号や系統ってなんだ? 聞いてみよう。
「称号とは、この世界を見守る神により付けられるもので、ほとんどの者が空欄です。例え国王であろうともです。系統とは、その者に適性のある事柄が表示されます。それを参考に職業に就いたり、逆に全く参考にしなくても構いません。あくまで目安といったところです」
「ふむ、解らん。……まあ、見てみよう。ニア、どうすればいい?」
「頭の中で、〔ステータス〕と念じると自分にのみ表示されます。〔ステータスオープン〕と念じれば、その場の見せてもいい者に公開されます」
みんなに見せても大丈夫。ステータスオープンっと。
名前 : ユウト ババ
種族 : 人族
年齢 : 24
レベル: 1
称号 : 世界を渡りし者 英雄
系統 : 武〈長剣〉 魔〈全〉 製作 商
スキル: S・聖剣技〈10〉 SS・魔法大全〈7〉
A・言語理解 A・魔力回復‐大‐ A・使用魔力低減‐大‐
おお! 出た。意外とハッキリ見えるな。文字の書かれた透明な板が空間に固定されてる感じか?……不思議なもんだ。
「みんな見えるか?」
皆、突如現れた透明な板状のものに目が釘付けになっている。
ん? 一瞬ミケが挙動不審に見えた気が……。
「ゆ、ユウトよ、……お主24歳じゃったか?」
「ん? いや、よんじゅ――あ、ホントだ! ……確か、特典で20代半ばに若返ったんだったが、実年齢もか?」
スキルは特典でもらったものもあるし、いきなり多いな?
「追加で説明しますと――」
ニアによると、レベルまではそのままとして、系統が複数ある場合は、より適性のある事柄順に表示されるらしい。
称号は地球からカストポルクスに入ったので、全員に『世界を渡りし者』が付き、俺に至ってはバハムートの称号が付いたらしい。
「スキルには貴重さや効果によってC・B・A・Sとランク付けされています。『魔法大全』は世界で1人、ユウトさんにしか無いスキルなので、SSランクになります。スキルに数字が付いているものは、そのスキルのレベルで最高は10です」
「結構、……てか、かなり良いな、俺」
「お兄ちゃんすご~い!」
「ね! 本当にすごいですよ、ユウトさん!」
アニカとアニタのベタ褒めに照れくさくなってきた……。
「照れるなぁ。……でも、【聖剣技】は余程の事がない限りは使わないでおくよ」
「なぜですか?」
ニアが聞いてきて、みんなも不思議そうにしている。
「『魔法大全』は、俺へのスキルとして……、聖剣技はバハムートのスキルだ。使うとしたらバハムートの魂を狙う親玉、つまり魔王に対してになると思う」
「生真面目じゃのう。バンバン使えばいいじゃろうに」
「そういうミケのステータスはどうだ?」
ミケはギクッとした様子で俺から目を逸らした。
「わ、我はよい。ふ、2人はどうなのじゃ?」
名前 : アニカ クマル
種族 : 人族
年齢 : 10
レベル: 3
称号 : 世界を渡りし者
系統 : 武〈長柄〉 知識 魔〈光〉
スキル: A・言語理解 A・強靭〈1〉
名前 : アニタ クマル
種族 : 人族
年齢 : 7
レベル: 3
称号 : 世界を渡りし者
系統 : 武〈短剣・弓〉 農 魔〈無〉
スキル: A・言語理解 A・感知〈1〉
……れべ、3? ……ちょっと気になる点があるが……、触れないでおこうか。
みんなも俺がレベル1だって触れないでくれているしな。
「おお、2人とも武の適正が一番だな、魔法もあるし……」
「ニアさん、この強靭って何でしょう?」
「はい、アニカさんの【強靭】は、タフネスや強壮の上位スキルで肉体・精神が強くてしなやかになるスキルです。アニタさんの【感知】は、察知、探知の上位で直感や本能的に何かを見つけたり、感じ取ります」
はは~ん、上位の上位だからAランクなのか。
「良かったじゃないか、2人ともいいスキルだな。……でアニタの短剣はククリのままでいいとして、アニカは長柄の武器かぁ、……槍? は持って無いしな――あ、あるぞ!」
空間収納から出した薙刀とククリを交換して、軽く説明してやった。
いや~、現代の物みたいに長くなくて良かった。全長150~60cm位なら今のアニカでも扱えるだろう。
「成長して大きくなったら、柄を長くするか、槍に買い替えてもいいな」
「いえ、これを大事に使います!」
宝物を持つように大切そうに胸元でギュッと抱えている。
まぁマテリアルアップの上位、《マテリアルブースト》をかけてるから、そう壊れまい。……ああ、早く《アンブレイカブル》覚えないかな……。
ついでに俺も忘れずに帯剣ベルトを装着し、刀を出しっぱなしに出来るようにする。
ネパールで帯剣してたら目立つし、絶対捕まってただろうな……。
「さて、残すはミケだな……」
さっきからミケが挙動不審だ、怪しいぞ?
「ううっ、仕方ないか……」
名前 : ミケ
種族 : 白狐
年齢 : 0
レベル: 3
称号 : 世界を渡りし者 異界の神の眷族
系統 : 武〈拳・爪・獣〉 農
スキル: SS・操雷〈10〉 A・言語理解
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます